新着論文紹介
Development of Innate-Immune-Cell-Based Immunotherapy for Adult T-Cell Leukemia-Lymphoma
成人T細胞白血病リンパ腫に対する自然免疫細胞に基づく免疫療法の開発
ジャーナル:Cells
著者:Maho Nakashima, Yoshimasa Tanaka, Haruki Okamura, et al.
責任著者:長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学分野
https://doi.org/10.3390/cells13020128
要約・インパクト
近年、自然免疫系エフェクター細胞を利用したがん治療が臨床実装されつつあり、新しい治療モダリティーとして注目される。ATL患者では、末梢血中の自然免疫エフェクター細胞は顕著に少ないことが確認され、自然免疫エフェクター細胞療法を実現するには効率良く細胞を増幅できる培養方法の確立が必要である。我々は、窒素含有ビスホスホネートプロドラッグ(PTA)とインターロイキン(IL)-2/IL-18 を用いた新規手法にで増殖したγδT細胞とNK細胞の双方を含む自然免疫エフェクター細胞による細胞輸注治療の可能性を検討した。
ATL患者では、末梢血中のγδT細胞の割合が著しく低く、γδT細胞の割合が低いほど予後不良マーカーが高い傾向がみられ、加齢やHTLV-1感染による免疫抑制が影響していることがわかった。ただし、γδT細胞の増幅率の中央値は1998倍、NK細胞では12倍であり、ATL患者由来のγδT細胞は、生体外で効率的に増幅できることが示された。
ATL細胞株に対して、NK細胞の方がγδT細胞よりも高い細胞障害性を示したが、抗CCR4抗体を加えることで、γδT細胞の方が抗体濃度依存的に細胞傷害活性の増強がみられた。抗CCR4抗体を加えることで、γδT細胞とNK細胞の割合に関わらず高い細胞障害性を維持できた。以上より、自然免疫系エフェクター細胞輸注療法は、ATLに対する有望な治療法になりうる可能性がある。












