新着論文紹介
Anti-tumor activity of 5-aminoimidazole-4-carboxamide riboside with AMPK-independent cell death in human adult T-cell leukemia/lymphoma
ヒト成人T細胞白血病/リンパ腫におけるAMPK非依存性細胞死を伴う5-aminoimidazole-4-carboxamide ribosideの抗腫瘍活性
ジャーナル:European Journal of Pharmacology
著者:Aikawa, A., Kozako, T., Kato, N. et al.
責任著者:福岡大学 薬学部 生化学研究室
https://doi.org/10.1016/j.ejphar.2023.176180
要約・インパクト
成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)によって引き起こされる進行性のT細胞白血病/リンパ腫である。Acadesine(5-aminoimidazole-4-carboxamide riboside:AICAR)はAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)活性化剤であり、B細胞慢性リンパ性白血病に対しては腫瘍抑制効果を示すことが報告されているが、ATLに対する効果は明らかになっていない。本研究では、ATL関連細胞株に対するAICARの細胞毒性効果および抗腫瘍活性を評価した。本研究では、AICARがATL関連細胞株(S1T、MT-1、MT-2)においてアポトーシスおよびミトコンドリア膜脱分極を介した細胞死を誘導することを実証したが、非HTLV-1感染Jurkat細胞では誘導しなかった。このとき、AICARはAMPKαのリン酸化レベルを増加させなかった。さらに、AICARは細胞死受容体(DR)であるDR4およびDR5の発現、ならびにReceptor-interacting proteinファミリーメンバーやmixed lineage kinase domain-like proteinを含むネクロプトーシス関連タンパク質のリン酸化レベルを増加させた。興味深いことに、HTLV-1がコードするHTLV-1 Taxは、AICAR誘導アポトーシスに影響を与えなかった。さらに、AICARはNOD/SCID/γマウスにおけるヒトATL腫瘍異種移植片の生体内の増殖を抑制した。これらの結果は、AICARがAMPK非依存的にATL関連細胞株の細胞死を誘導して抗腫瘍活性を有することを示唆しており、ATLの治療薬となり得ると考えられる。












