この度、第7回日本 HTLV-1 学会学術集会を2020年8月28日(金)〜30日(日)の3日間、熊本市(熊本城ホール)にて開催させていただくことになりました。
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)が高月先生らによって独立した疾患として1977年に報告され、1980年にその原因ウイルスであるヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)が発見され1981年にはATLがウイルスによって起こる疾患であることが明らかになりました。HTLV-1は最初に発見されたヒトレトロウイルスであり、その研究は医学に大きなインパクトを与え、また日本が誇る研究成果です。高月先生は元熊本大学医学部第二内科教授であり、日沼教授は元熊本大学医学部微生物学教授です。このように熊本大学はATL, HTLV-1と深く結びついてきました。この熊本の地で第7回HTLV-1学会が開催されることは我々にとりましても望外の喜びです。
HTLV-1の発見以来、ATL, HTLV-1関連疾患、HTLV-1感染症の理解は大きく進みました。そしてかつて根治できる治療法がなかったATLにも治癒したといえる症例が蓄積してきています。しかし、依然として治療困難な症例は多く、ATL, HTLV-1関連脊髄症(HAM)などのHTLV-1関連疾患、HTLV-1感染症にも多くの謎が残されています。C型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス薬療法の発展、パピローマウイルスに対するワクチンの開発により、これらの発がんウイルスに関しては根絶への道筋が見えてきました。しかし、HTLV-1感染症は未だ根絶には遠く今後、一層の対応・対策が必要とされています。また、多くのHTLV-1関連疾患の患者さんの治癒を目指した治療法開発が望まれています。このため本学術集会のメインテーマは「令和時代のHTLV-1研究・診療の最前線〜治癒と根絶を目指して〜」としてHTLV-1関連疾患の治癒、HTLV-1感染症の根絶に向けた研究成果を期待したいと思います。
日本がリードしてきたHTLV-1研究の一層の発展、治療法の開発、感染症対策の推進を目指し、2013 年に「一般社団法人 日本HTLV-1 学会」が設立され、学術集会の開催により研究成果の発表、情報交換を重ねてまいりました。この学術集会により研究者、医療者、患者会の皆様の情報交換が進み研究、診療の推進力となってきました。本学会でも一層の進展を期待しております。
熊本の地で多くの皆様のご参加をお待ちしております。
第7回日本HTLV-1学会学術集会 会長
松岡 雅雄