先天性グリコシル化異常症 CDG:Congenital Disorder of Glycosylation

先天性グリコシル化異常症 CDG:Congenital Disorder of
Glycosylation

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先天性グリコシル化異常症
(Congenital Disorder of Glycosylation, CDG)の病型

概要

タンパク質は人間の体を構成する基本的な成分で、重要な働きを担っています。しかし、多くのタンパク質が正確に機能するためには、それに結合する糖鎖が必要です。この糖鎖に異常が生じることで発症する疾患がCDG(先天性グリコシル化異常症)です。CDGは、かつてN結合型糖鎖の合成異常症を指し、小胞体において糖鎖の前駆体が合成され、それが標的タンパク質のアスパラギンに転移されるまでの異常をCDGI型、そのあとの小胞体とゴルジ体での糖鎖の修飾過程の異常をCDGII型と呼んでいました。現在ではCDGはN結合型、ムチン型糖鎖を含むO結合型糖鎖、GPIアンカー、グリコサミノグリカン、糖脂質(ガングリオシド)など、糖鎖全般の合成異常症を含む概念となっています。そのため、現在では「原因遺伝子名-CDG」(例:PMM2-CDG)という形で病名が付けられます。本疾患は160種類以上の遺伝子変異によって発症します。多くは常染色体潜性遺伝性の疾患で、両親からそれぞれ変異のある遺伝子が伝わることにより発症します。一部はX染色体上の遺伝子で母親から変異をもらった男児のみが発症します。
NGLY1は細胞質においてN型糖鎖の分解に関与する遺伝子ですが、その欠損症には「Congenital Disorder of Deglycosylation(CDDG)」という病名が提唱されています。しかし、N型糖鎖の合成過程での異常であるため、「NGLY1-CDG」とも呼ばれ、CDGに含まれます。 本疾患のホームページでは、以下の疾患を対象とします。多くは発達の遅れやてんかんなど神経症状を主症状とします。

  • N型およびムチン型糖鎖合成異常症
  • 先天性GPI欠損症(Inherited GPI deficiency, IGD)
  • NGLY1欠損症
  • 糖脂質欠損症

また、日本で比較的頻度の高い福山型筋ジストロフィーを含む糖鎖異常に起因する筋ジストロフィー(ジストログリカノパチー)や、骨・結合組織の異常を主症状とするグリコサミノグリカン(GAG)合成異常症もCDGに分類されます。これらの疾患については、それぞれ特徴的な症状を扱う研究班が存在するため、その他の疾患として扱い、参考サイトを紹介するにとどめています。 CDGの中には治療により症状が緩和される病型があるので、早期診断が重要です。血液検査により診断ができますので、原因不明のてんかんや発達の遅れがあれば検査をお勧めします。

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