<Peer Review>

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Peer Review

 論文を学術誌に投稿すると、その論文を掲載するか否かが査読で判断されます。学術誌もランクづけされてお り、ランクの指標としてCitation Index (CI) が広く用いられています。一般にCIが高い学術誌に論文を採用されることで、論文投稿者の業績が評価されます。そこで、我々研究者はCIが高い学術誌での 論文掲載を狙い日々努力しているわけです。
 研究者にとっては、ある意味この査読のプロセスが公平に行われることが死活問題になってくるわけです。現在は多くの学術誌で、Peer Review方式といって、学術誌の編集者が投稿論文の内容に従って適切と考えられる研究者に投稿論文の評価を以来する方法が採用されています。しかし、 このシステムが公平でないことが大きな問題なのです。
 一見公平性のあるシステムのように思えるのですが、人間の組織でありがちな問題により公平性が保たれていません。現状は、編集者がお仲間になっており、 お互いの知人を有利に、逆に仲間以外に不利な裁定を行われています。編集者の選別が読者に開示されていれば、まだマシだと思いますが、この選別も不透明 で、編集者お仲間が代々編集者を務めているのが現状です。(世襲制の独裁国家に似た状態とも言えます)

 私が研究を初めてすぐの頃に先輩から
「留学中に掲載された論文と、日本から投稿して掲載された論文では価値が異なる」というニュアンスのことを言われ、当時はその意味がよくわかりませんでし た。しかし、上記のような現状では、いわゆるCIの高い学術誌の編集者は欧米の研究者が勤めており、非欧米人が参加していても欧米の研究者のいいなりにな るような研究者が選ばれていることが多く、欧米の仲間に有利な投稿システムになっていることがわかるようになりました。

 お仲間で掲載を決定している結果として
1. 編集者が恣意的にPeer Reviewにかけずに論文掲載を拒否できる。逆に、編集者が恣意的に論文掲載を決定できる。
2. お互いの知人を有利に、逆に仲間以外に不利な裁定を行う。
という問題が発生しているのです。

 さらに、掲載された論文内容に疑問がある場合には、多くの学術誌で誌上にその点に関する指摘を掲載するLetter to the editorやCorrespondence等のコーナーがあるのですが、最近は、明らかな間違いがある場合でも、その指摘を編集者が掲載しない傾向が出 てきています。
 学問の発展にはお互いに疑問点を論議する必要があるはずなのですが、現状はCIが高い学術誌でも編集者の学者としての資質を疑わせるような対応が目につ くようになってきてしまっています。

 以下、私が経験した奇妙な裁定をお伝えしたいと思います。