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「心臓血管外科専門医認定試験問題過去問題集2012〜2015」の発刊にあたって

発刊にあたって

 心臓血管外科専門医認定機構は新専門医制度への移行を好機としてとらえ、制度の大幅な改定を目指すことを決断しました。改定案の一つの骨格は心臓血管外科専門医は関連する全ての領域(成人心疾患、小児心疾患、大血管疾患、末梢血管疾患)を学び、知識と一定の技術を持つべきということ、二つ目の骨格は修練をカリキュラム制からプログラム制に変更することで、先が見える制度とすることです。これまで平均10数年かかっていた修練期間を短縮し、初期研修終了後、最短5年までで完了するモデルケースプログラムを想定しているなか、これらの課題を克服するには研修を効率よく行う必要性が求められると同時に、専門医の質のレベルを下げないということが求められます。修練期間の短縮は募集数を症例数に基づいた定員制とすること、修練の場を施設群とすることで広い領域を効率よく、平等に行う環境にすることで克服します。専門医としての必要な知識は全ての領域を修練する義務化で学ぶ機会は得られますが、昨今の膨大な量の専門知識を日々忙しい診療の合間に効率よく学ぶことは容易ではありません。心臓血管外科専門医試験は現行では相対的評価で合否が決められています。新制度では一定の知識を持つ受験生は全て合格とする絶対的評価に変えることが決まりました。そこで、多くの受験生に合格ラインに達していただくためには手助けが必要となります。それには専門医として知っておくべき知識を修練医の皆さんに提示することが必要と考えました。まずはコア・カリキュラムを作成し、学ぶべき内容を示すということが決まりましたが、それだけではかえって混乱を招き、成績向上には結びつかないと考えました。
 これまで、心臓血管外科専門医試験問題は多くの関連学会評議員が中心となって問題作成を担当し、日々の診療、経験から必要な知識として考え抜き、長年にわたり作成してきました。その問題の中から心臓血管外科専門医認定機構内の試験問題作成委員会が吟味して出題問題を選択し、必要な場合には修正を加えて出来上がったものが出題問題として使用されてきました。毎年、試験問題の作成を依頼することで学ぶべき多くの領域がカバーされるに至り、かつ専門医として知るべき知識も明らかとなってきました。そこで、心臓血管外科専門医認定機構では過去の問題で識別指数、正解率の良いいわゆる良問を皆さんに提示し、学んでいただくことが最善策であるという判断をいたしました。日本心臓血管外科学会評議員・日本胸部外科学会評議員・日本血管外科学会評議員、心臓血管外科専門医認定機構の努力・成果の結集、専門医として知るべき知識の集結がこの過去問題集です。問題集は必修問題(80%の正解率を求める)と選択問題(70%の正解率を求める)に分けられ、それぞれコア・カリキュラムに基づいて細分類されています。この問題集を中心に勉強することで着実に専門医試験合格が見えてきます。後は皆さんが努力し、必要な知識と一定の技量を持った立派な心臓血管外科専門医となられることを願うばかりです。

 2017年2月

心臓血管外科専門医認定機構 代表幹事
(東京慈恵会医科大学心臓外科主任教授)
橋本和弘

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