Glycoprotein IIb/IIIa (GPIIb/IIIa, αIIb/β3)
【Glycoprotein IIb/IIIa (GPIIb/IIIa)とは】
Glycoprotein IIb/IIIa(GPIIb/IIIa)はインテグリンファミリーと呼ばれる蛋白に属する血小板膜糖蛋白です。GPIIbはインテグリンαIIbとも呼ばれ、またGPIIIaはインテグリンβ3とも呼ばれるためαIIb/β3と表記される場合もあります。血小板表面に最も豊富に発現する膜蛋白で、特発性血小板減少症発症の標的抗原の一つと考えられています。生理的にはフィブリノゲンおよびフォンビルブランド因子の受容体として作用し、血小板の凝集や粘着に重要な役割を果たしています。その欠損症/異常症は血小板無力症(Glanzmann病)として知られ、出血傾向を呈します。
特筆すべきは、通常流血中に存在する非活性化状態の血小板表面では、GPIIb/IIIaはN端に存在するリガンド結合部位がリガンドと結合できないbent formと呼ばれる屈曲した構造をとっており、フィブリノゲンやフォンビルブランド因子と結合できません。しかし、血小板が活性化をうけるとGPIIb/IIIaは進展構造(extended formと呼ばれます)に変化し、フィブリノゲンやフォンビルブランド因子と結合できる状態に変化します(血栓止血学会ホームページにわかりやすい図があります)。このような血小板活性化によるGPIIb/IIIaの変化をinside outのシグナルと呼びます。さらにGPIIb/IIIaにフィブリノゲンやフォンビルブランド因子が結合すると、GPIIb/IIIaのさらなる構造変化が生じたり、GPIIb/IIIaのクラスターが形成されたりすることで、細胞内に新たなシグナルが発生します(outside-inシグナルと呼ばれます)。その結果、血小板は血小板伸展や血餅退縮、顆粒放出反応などを引き起こします。
このような非活性化状態ではリガンド結合部が折りたたまれ活性が抑制されている一方、活性化状態では伸ばされた活性が発現するため、GPIIb/IIIaを「ジャックナイフ」に例える場合があります。事実このような制御機構は、レセプターであるGPIIb/IIIaとリガンドであるフィブリノゲンフォンビルブランド因子が常に共存している流血中で、不要な血小板系の活性化を防ぐという意味では生態のもつ制御機構の一つと考えられます(このような制御機構は血小板系や凝固線溶系には数多くあります)。