先天性凝固第V因子/第VIII因子同時欠損症 |
先天的に凝固第V因子と凝固第VIII因子が同時に欠損・低下している遺伝性疾患です。先天性凝固第V因子欠損症(パラ血友病)と先天性凝固第VIII因子欠損症(血友病A)が、偶然合併した病態ではありません(可能性はあり得ますが、遺伝子頻度から考えると、世界中に1名以下の確率です)。
|
出血傾向を呈しますが、因子活性によって出血傾向の出現の程度は異なります。多くの場合、第VIII因子の活性低下は軽症血友病A程度の低下で、臨床症状もほぼ軽症血友病Aと同程度です。このため抜歯後止血困難などの観血的手技時の止血困難や歯肉出血、鼻出血などが主な症状です。間接出血などは稀な症状です。保因者の方は出血傾向は呈しません。
|
|
日常生活では出血傾向が必ずしも出現するものではありません。止血困難な出血傾向を呈する場合は、主に第VIII因子の補充が中心となります(第VIII因子と第V因子では止血に必要な因子活性は第VIII因子が高い値であるため)第VIII因子補充でも止血が得られない場合は新鮮凍結血漿投与などにより第V因子補充が必要になる場合があり得ますが、因子活性から考えると極めて稀と考えられます。クリオ製剤では第VIII因子の補充は可能ですが効率は悪く、第V因子の補充はできません。
|