irAEワーキンググループについて
概要
各がん領域における新たな治療選択として免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が注目されています。臨床効果についても期待度の非常に高い薬剤ですが,従来の殺細胞性抗がん薬,分子標的治療薬とは異なる性質の有害事象が多く報告されています。
代表的な免疫関連有害事象(irAE)としては,内分泌障害(1型糖尿病,甲状腺機能障害等),薬剤性肺障害,消化器系障害(大腸炎,重度の下痢),神経系の障害(重症筋無力症等),皮膚障害などが挙げられます。更には,未知の有害事象に対しても同じ基準で迅速に対応していく必要があり,早期発見と診断,適切な対処が求められております。
しかしながら,irAE対策は各医療機関で異なり,irAEに対応する診療科間連携や地域間連携も未だ不十分です。
検討課題
具体的には,以下に挙げた項目整備が不十分であると考えています。
① ICI投与中に発現した有害事象とその鑑別
② irAE対策の標準化
③ 検査項目のセット化(各都道府県における支払基金との整合性と過剰検査の精査)
④ 各科連携・病診連携と,薬剤師が情報共有する方法(トレーシングレポートなど)
⑤ 施設内におけるコンサルト先の明確なアルゴリズム表
⑥ irAEの経験を共有できる勉強会
⑦ 患者指導,患者理解度を確認する方法
この問題解決のため, irAEワーキンググループ(Team K(i)NGS)では,薬剤師目線のirAE対策「手引書」 を鋭意作成しております。
成果・業績
ワーキンググループメンバーによるこれまでの活動履歴(学会,講演会等)を紹介します。
病院と保険薬局の目線を合わせる! 地域を結ぶirAE手引書
日本臨床腫瘍薬学会 学術大会2023 シンポジウム9 2023年 3月
鈴木 貴之, 鈴木 栄, 新井 隆広, 国吉 央城, 武井 大輔, 中山 季昭, 佐野 元彦
Team K(i)NGSにおけるirAE対策手引書の作成と活用方法
Oncology Pharmacists Community in Kanto-Koshinets(OPCK2) 2023年 2月
新井 隆広
irAE 手引書の使い方 ~多職種・地域の共通言語化への可能性~
irAEマネジメントセミナー 2022年 11月
武井 大輔
irAE対応について ~irAE対策~手引書 ver1.0版の活用方法
埼玉県立がんセンター 薬薬連携勉強会 2022年 10月
鈴木 貴之
Team K(i)NGSにおけるirAE手引書の作成と活用方法
医療薬学フォーラム2022 / 第30回クリニカルファーマシーシンポジウム
シンポジウム1 Let's management of irAE ~分かち合おう!知識と経験~ 2022年 7月
国吉 央城, 鈴木 栄, 新井 隆広, 鈴木 貴之, 武井 大輔, 中山 季昭, 佐野 元彦
安心してできる irAE マネジメント ~そっと背中をおしてくれる手引書の存在~
irAE MSP 2022年 3月
武井 大輔
がん領域における副作用対策に薬剤師がどう関わるべきか ~チーム作りから実践・irAEを中心に~
茨城県病院薬剤師会 県南・県西がん専門認定薬剤師セミナー 2022年 2月
鈴木 栄
irAE マネジメントに関して ~Team KiNGS の取り組み~
KLCS 2021年 12月
武井 大輔
irAE を早期発見・対応するための管理ツール作成の勘所 (かんどころ)
第31回日本医療薬学会年会 シンポジウム 2021年 10月
武井 大輔, 鈴木 栄, 新井 隆広, 国吉 央城, 鈴木 貴之, 中山 季昭, 佐野 元彦
「見逃さない」ための一歩進んだirAE(免疫関連有害事象)対策 ~安心・安全に免疫チェックポイント阻害薬を使用するために~
日本臨床腫瘍薬学会学術大会2021 シンポジウム7 2021年 3月
鈴木 栄
第2報 埼玉がん薬物療法研究会による免疫関連有害事象マネジメントツール作成への取り組み
日本臨床腫瘍薬学会学術大会2021 示説発表 2021年 3月
鈴木 栄
埼玉がん薬物療法研究会による免疫関連有害事象マネジメントツール作成への取り組み ~患者問診票とレッドフラグサイン確認票~
日本臨床腫瘍薬学会学術大会2020 示説発表 2020年 3月
鈴木 栄
薬剤師による新たなirAEマネジメント ~チームキングス「Team KiNGS」 の挑戦~
日本病院薬剤師会関東ブロック 第49回学術大会(山梨)シンポジウム 2019年 8月
鈴木 栄, 新井 隆広
irAE対策手引書 HOW TO版(HTMLバージョン)
「Team K(i)NGS」では、irAEに関する薬剤師主導による手引書の解説版 を作成しましたので紹介いたします。
irAE対策手引書 HOW TO版(HTMLバージョン)目次
手引書作成にあたって
1)ワーキンググループ
2)作業手順
3)文献収集
4)利用・使用方法に関して
5)改訂と公開
※使用上の注意
手引書の構成と概要
1)疾患想定支援ツール
2)症状別対応ツール
3)レッドフラッグサイン対応ツール
4)参考資料
活用事例
1)発熱の場合(一般的な使用方法)
2)倦怠感→irAEが3~4つの副作用にしぼり込めそうなパターン
3)下痢→irAEかと思ったら違う疾患が疑われたパターン
4)皮膚障害→irAEではないかと考えたパターン
5)息切れ→訴えがあったが結局何も起こらなかった(不定愁訴のパターン)
作業グループメンバー 敬称略
■チームリーダー■ 鈴木 栄 |自治医科大学附属さいたま医療センター
●グループA
新井 隆広
群馬県立がんセンター
川田 亮
羽生総合病院
吉田 憲司
彩の国東大宮メディカルセンター
渡邉 絵美
赤心堂病院
豊田 えり
埼玉医科大学病院
伊藤 剛貴
草加市立病院
池田 宗彦
九州大学病院
●グループB
国吉 央城
上尾中央総合病院
畠山 朋樹
戸田中央総合病院
藤堂 真紀
埼玉医科大学国際医療センター
猪野 達也
埼玉県済生会川口総合病院
森本 真宗
埼玉医科大学総合医療センター
平野 航
草加市立病院
●グループC
鈴木 貴之
埼玉県立がんセンター
男鹿 宏和
草加市立病院
平山 啓朗
太田記念病院
藤田 行代志
群馬県立がんセンター
奥田 泰考
自治医科大学病院
南 晴奈
九州大学病院
●グループD
武井 大輔
埼玉県立がんセンター
相川 晴彦
獨協医科大学埼玉医療センター
中里 健志
上尾中央総合病院
本田 隼人
越谷市立病院
原田 知彦
神奈川県立がんセンター
新津 京介
自治医科大学附属さいたま医療センター
オーガナイザー
佐野 元彦
星薬科大学
中山 季昭
埼玉県立がんセンター
吉野 真樹
新潟県立がんセンター新潟病院
渡邉 裕之
九州大学病院
オブザーバー
野村 久祥
国立がん研究センター東病院
岸野 亨
埼玉医科大学病院
谷川原 祐介
慶應義塾大学
2020年6月現在 以上32名