鳥インフルエンザA(H7N9)ウィルスについて
(2013年5月26日現在)
日本呼吸療法医学会・危機管理委員会
1)疫学
http://www.kansensho.or.jp/influenza/1305_teigen.html#n01
感染力;H1N1>H7N9>H5N1
病原性;H5N1>H7N9> H1N1
免疫原性が低く抗体ができにくい(なんと感染しても抗体ができない可能性あり)。ヒト―ヒト感染疑いはあるが継続して感染している証拠がなく、現状ではヒト―ヒト感染は証明されていない。
2)病態と診断
http://www.kansensho.or.jp/influenza/1305_teigen.html#n03
潜伏期は中央値で6日(IQR:1-10日)。中国CDCは養鶏所閉鎖後に7日で新規患者が減少したとして7日としている。発症から死亡までの中央値は11日(IQR:7-20日)。ICU管理は65%で必要。咽頭ぬぐい液20,000検体でリアルタイムPCRにて陽性率は0.03%(6検体)であり、臨床現場での有用性は少ない。下気道と上気道からの検体で複数回のPCRが必要。PCR検査は全国保健所で行われるが、判定まで数日を要する。
中国からの報告によると、ICU入室率は77%で54%はICUに直接入室であった。入室理由は72%がmildからmoderateのARDS、26%はショックであった。症状自覚からARDS発症までの期間は平均7日(1-19日)だった。ARDSのうちの82%は気管挿管、人工呼吸を要し、25%はECMOを必要とした。(N Engl J Med online first. May 22 2013, at NEJM.org)
3)疑似患者ならびに確定例に対する院内感染対策
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/a/flua-h7n9/2273-idsc/3550-hospital-infection.html
H7N9は指定伝染病として扱われる。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/dl/2013_0426_01.pdf
4)治療
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/a/flua-h7n9/2273-idsc/3408-140407-cdc.html
http://www.kansensho.or.jp/influenza/1305_teigen.html#n06
臨床診断が重要。確定診断には時間を要するため治療を開始する。早期に抗インフルエンザ薬を使用する。重症化が懸念される免疫抑制例や重症入院患者では倍量長期投与が推奨される。ステロイドの有効性は確立していない(H1N1では否定的な報告がある)。