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学会賞のご案内

2024年度受賞論文

優秀論文賞

原著「新型コロナウイルス感染症の重症化予測AIモデル」
衣笠 泰葉 氏
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 感染メディカル情報研究室
(現所属:医療法人徳洲会 野崎徳洲会病院附属研究所 メディカル感染システム研究部)

40巻1号p.59-68掲載
採択日:2023年3月14日
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学会賞2024

受賞の言葉

 このたびは、優秀論文賞という大変名誉ある賞をいただき、非常に光栄に存じます。本論文で活用させていただいた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者さまの試料ならびに診療情報の集積にかんしては、患者さまのご協力なくしてはなし得なかったものです。また、呼吸療法医学会にはCOVID-19発生当初から本研究に全面的にご協力いただきました。あわせて、診療現場の先生方には多忙な診療の合間に試料や診療情報の提供に献身的にご協力いただきました。この場をかりて深く感謝申し上げます。
 本論文のAI解析にかんしては、システムバイオロジー研究機構の先生方に大変お世話になりました。現在、COVID-19は5類感染症へと移行し、生活はもとの日常に徐々に戻りつつありますが、いまだにCOVID-19の罹患者数は多く、人工呼吸管理が必要となる重症患者も常に発生している状況です。本研究にて作成したAIモデルは、COVID-19の重症化、病態の推移を予測することが可能となり、診断の補助として、また人工呼吸器やECMOの必要台数の調整や重症感染症病床の確保などといった重症者向け医療提供体制の整備の一助となると考えております。今後も類似のウイルスによるパンデミックの発生は避けられないと言われています。本研究はそのような感染症などの有事の際の転用、活用につながることが期待されます。一方で、刻々と変化する感染状況に対応するため、臨床データをリアルタイムに集積、AIモデルに適した形にプロセッシングし、モデルの構築や最適化を自動的に行う医療機械学習オペレーションシステム(MLOps)の開発が今後の課題になると考えております。
 最後に、このたびは優秀論文賞に選出いただきまして誠にありがとうございました。この受賞を励みに、今後一層研究に邁進していく所存です。

奨励論文賞

原著「ICUに入室した挿管患者における抜管後のHFNC導入・再挿管に対するROX indexの有効性およびCut-off Pointに関する検討」
石原 敦司 氏
岐阜県総合医療センター 呼吸サポートセンター

40巻2号p.157-162掲載
採択日:2023年6月15日
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学会賞2024

受賞の言葉

 このたびは大変名誉ある賞をいただき、うれしく光栄に思います。
 今回はICUの臨床における疑問を踏襲し作成した論文です。ですので、今回の賞はICUにかかわるすべてのスタッフの協力なくしては得られなかったと考えております。また、日本呼吸療法医学会ならびに論文作成にかかわりご指導いただいたすべての先生に厚くお礼申し上げます。
 現状は新型コロナウイルス感染症も収束しつつあり、重症COVID-19診療で培った管理方法も応用し、呼吸療法のさらなる発展が期待されます。多様な疾患が混在するICU・呼吸療法においては、とくにチーム医療が不可欠であり、今こそチーム医療が試されているとも思います。
 また、今回の研究と早期離床・SAT/SBT・栄養療法などは相互に関連していると考えます。これらは各種加算がついている今こそ、臨床の結果を学術分野に落とし込む必要があります。当院としても今回の研究で培ったチーム医療を活かし、多職種で構成されたメンバーでそれぞれの得意分野の特殊性を活かし、ICU・呼吸療法の発展に向けて、対峙して行きたいと考えております。
 今後、今回の研究が重症患者における呼吸管理やチーム医療の一助となり、呼吸療法の発展に貢献できれば幸いです。
 このたびは誠にありがとうございました。

 

原著「侵襲的陽圧換気導入時の症例の特徴における人工鼻から加温加湿器に変更になる要因に関する後方視的研究」
川田 麻菜 氏
広島赤十字・原爆病院 医療技術部 臨床工学課

40巻2号p.163-167掲載
採択日:2023年10月11日
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学会賞2024

受賞の言葉

 このたびは、奨励論文賞という大変名誉ある賞をいただき、光栄に思います。同時に、より一層、日々の臨床業務、研究活動に尽力しなければと身の引き締まる思いです。査読・編集委員の先生方に心より御礼申し上げます。
 広島赤十字・原爆病院では、侵襲的陽圧換気導入時に加温加湿方法として人工鼻を第一選択としています。しかし、導入後に痰の粘稠度が高くなった場合、侵襲的陽圧換気使用中に人工鼻から加温加湿器へ移行しなければならない場合があります。この“移行の要因”を明らかにすれば、導入時より加温加湿器を選択できるようになるのではないか? と思い至り、本研究を実施いたしました。加温加湿方法選択のご参考になりましたら幸いです。
 今回の受賞を励みに、今後も精進して参りたいと考えております。引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。このたびは誠にありがとうございました。