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第一回 医師向け 人工呼吸管理 基礎教育プログラム 質問・回答
★NPPV
- Q1:NPPVの適応のところです。適応があれば積極的に、ということで、特に急性心原性肺水腫は良い適応というお話しでした。CS3のショックになっている例以外は積極的に使用を考慮すると言うことだったと思います。 心原性肺水腫の原因がAMIによる場合はどうでしょうか。 呼吸・循環動態が不安定になりやすいため、今ショックでなくてもいつショックになるか分からないような症例です。しかも、いまから緊急の心カテをしなくてはならない様な症例です。 その様な場合にはまずNPPVを開始し、心カテ中の様子をみて、ダメそうならばすぐに挿管というのが良いでしょうか。それとも、このような不安定化する因子がある場合には最初から挿管でしょうか。 現場でよく遭遇するのですが、なかなか書かれているものがありません。
- Q2:NPPV時、何か鎮静薬や鎮痛薬を使用しているか? ⇒①使用しない、②鎮痛剤のみ使用、③Dexを併用
- Q3:抜管後のNPPVのモードはどのように設定すれば良いのでしょうか?
- Q4:NPPVの適応について。肺炎などで気道分泌物排出が不能であれば、ミニトラック造設などで様子をみてから気管挿管を考慮するのはどうでしょうか? また、ミニトラック造設+NPPVという方法はないでしょうか?
- Q5:COPD急性増悪は比較的わかりやすいと思うのですが、心原性肺水腫の診断を来院時に速やかにできない場合も多いと思います(両肺びまん性スリガラス影など)。その場合はNPPVは避けた方が良いのでしょうか?
- Q6:COPD急性増悪に対するNPPVが良い適応とのことですが、喀痰排出が多いケースが多いと感じるのですが、その点についてどうマネジメントしたら良いか教えていただきたいです。
- Q7:NPPV(Noninvasive positive pressure ventilation)の用語に違和感を覚えます。「Non-」ではなく「less」ではないのでしょうか? あのmaskをゴムバンドで絞められた感じは決して「Non-」ではないと思いますが。→Invasiveとは気管挿管
- Q8:NPPVの際のsedationにドルミカムは推奨されますでしょうか? お勧めできない場合はその理由をご教示ください。1回のみ少量、接続はなし。
- Q9:「含気率」は具体的にどのように求めるのか?「CT?」
各施設の熟練度によると思います。我々の施設はNPPVを開始し、心カテ中の様子をみて、ダメそうならばすぐに挿管となります。NPPV管理に自信が無ければ初めから挿管で。ただ何事も始めなければ、次はありません。この文献を参考にしてください。Circ J.2012;76(11):2586-91.
基本的には使用しません。しかし最近は少しでも必要性を感じたらDexを使用します(軽いせん妄や不穏があれば、また患者本人からの訴え)。この文献を参考にしてください。Anesth Analg.2008 Jul;107(1):167-70.
特に決められたものはありません。換気量が維持できていればCPAPで十分です。
ミニトラック造設+NPPVという方法は行う事もあります。これで管理できれば良いと思いますが、この方法も決して無理に我慢して長引かせてはなりません。
右心不全、心原性ショック以外は適応なので、とりあえず試みる⇒ダメならば挿管しましょう。
患者本人が排痰出来るかがポイントです。排痰できるならNPPVで管理可能ですが、理学療法などを取り入れてもできないなら挿管がお勧めです。
分かりません。最初に決めた人に聞いてください。現在はmaskをゴムバンドで絞めることは無く、すべて幅広のマジックテープのようなものですから、個人的にはあまり不快には感じません。
あまり勧めません。そもそも鎮静にベンゾジアゾピン系を用いることは否定的な報告が一般的です。せん妄や不穏を増やします。ただし大規模調査によると、実際の現場ではベンゾジアゾピン系が使用されている施設もあります。この理由はその施設で使い慣れた薬剤であるからです。しかし、最初の理由からもあまり勧めません。この文献を参考にしてください。Anesth Analg.2008 Jul;107(1):167-70.
具体的な方法として確立されたものはないと思います。研究レベルの話です。是非、臨床例で標準的な方法を確立したいところです。実際は、6cc/kgの一回換気量でプラトー圧が 30cm2Oになるのであれば、含気率は相当低下しているな、と判断すべきですね。