◆学術集会会長挨拶◆
「 視野を広げよう 」
第6回日本視野学会学術集会
会長 吉冨 健志(秋田大学 眼科学講座 教授)
専門別研究会から学術大会に発展した学会の中で日本視野学会は非常に成功しており、日本視野学会学術集会は第6回となります。この学会がここまで発展してきたのは、松本長太理事長をはじめとする理事、評議員の先生方の多大なるご尽力の賜物だと考えています。
今回、私が第6回学術集会の会長を務めさせて頂くことになりました。このような素晴らしい学会を担当する機会を与えてくださった理事長をはじめとする諸先生方に厚く御礼申し上げます。
さて、視野の研究の多くはそれぞれ自分が専門とする疾患から入って行き、その疾患の病態を研究するスタンスになっています。OCTを中心としたimaging技術の急速な進歩も、様々な疾患の病態解析に革命をもたらしてきていますが、これもそれぞれの専門分野で見るところが変わっています。しかし、視野というのは網膜から後頭葉までの視機能に関わるものです。視野の異常は様々な病態に関わっており、自分の専門分野の病態だけにこだわっていると全体を見失ってしまいます。そこで今回の学術集会のテーマを「視野を広げよう」といたしました。
「視野」と言う言葉には、英語のVisual fieldと違って2つの意味があります。1つは英語と同様「見える範囲」ですが、日本語には英語にはないもう1つの意味があります。それは「物事を考えたり判断したりする範囲」です。日本語には、「視野」という言葉に2つの意味があるのです。
今回の視野学会のテーマは、視野(Visual Field)を広い視野〔考える範囲〕で考える場にすることを願って「視野を広げよう」としました。眼科医として患者さんの視野(Visual Field)を維持し、出来れば視野を「広げたい」という願いもあります。そしてさらにもう1つ、自分の領域にとらわれない「広い視野〔考える範囲〕」で、視野を考えてゆこうという意味を込めました。皆さん!視野を広げましょう。
第6回大会では、JPSレクチャーは視野学会の理事長でもあらせられる近畿大学の松本長太教授にお願い致しました。視野の臨床と研究では常に日本をリードされてきた松本先生のお話を拝聴できることはとても楽しみです。
シンポジウムのテーマは、網膜色素変性症、神経眼科領域など、多領域から先生方をお招きして広い視野から視野を考えていただきたいという思いで予定しております。また例年通り、公益性と教育性を重視した共催セミナーと共催シンポジウムも予定しております。
ポスターは秋田の名山・鳥海山と鳥海湖の写真で、これまでの視野学会学術集会のポスターのように視野の山をイメージにしたものです(画像は私個人が自分でPhotoshopを使って作成しました)。
学会会期中(4月3週目頃)の秋田は桜の季節です。医師、視能訓練士をはじめ視野に興味のある多くの皆様に秋田へ足を運んで頂き、学術集会のみならず、自然豊かな秋田の風景、そして美酒をはじめとする秋田の食をご堪能頂ければと思います。
なかなか訪れることのない北東北・秋田で、ぜひ視野を広げてください。