会長挨拶
第41回日本老年精神医学会 合同大会
会長 新井 哲明
筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学 教授

このたび、第45回日本認知症学会学術集会ならびに第41回日本老年精神医学会を、合同大会として開催する運びとなりました。本大会のテーマは、「認知症の未来を共に創る」です。両学会を代表し、本大会の大会長を拝命いたしましたことを、大変光栄に存じますとともに、その責任の重さを改めて感じております。
日本は世界に類を見ない速度で超高齢社会へと移行しており、認知症医療は今や医療・介護・福祉、さらには地域社会全体に関わる重要な課題となっています。近年、抗アミロイドβ抗体薬の登場により、認知症診療は「発症後対応」から「早期診断・早期介入」へと大きな転換期を迎えました。一方で、診断・治療体制の整備や社会的対応などの新たな課題も顕在化しています。さらに、行動・心理症状(BPSD)への対応、意思決定支援、社会参加の促進、家族支援といった従来からの課題も、より高度かつ複雑なものとなっています。こうした変化の中で、これらの課題を乗り越え、認知症との共生社会を実現するためには、認知症に関わる全ての人が力を合わせて取り組んでいくことが求められていると考えます。
病理から遺伝子に至る生物学的アプローチを基盤に、多領域を包含しながら発展してきた日本認知症学会と、精神医学を基盤として認知症に伴う精神症状や心理社会的課題に向き合ってきた日本老年精神医学会は、それぞれ異なる歴史と専門性を有しつつも、緊密な連携と協働を通じて、日本の認知症医療・研究を牽引してきました。両学会はいずれも、認知症に関わるさまざまな診療科の医師や研究者のみならず、心理職や作業療法士などのメディカルスタッフを含む多職種が参加する高い学際性を特徴としています。
その中で、2022年に初めての両学会の合同開催が実現し(慶應義塾大学・三村將大会長)、専門分野や立場の違いを超えて認知症という共通の課題に向き合う場が創出されました。この試みは、多くの参加者にとって極めて意義深い画期的なものであったと考えています。本大会は、その成果を継承・発展させる第2回目の合同大会として、研究、診療、教育、社会的提言等の各側面において、より実質的で持続可能な連携の場となることを目指しています。
本大会では、認知症の病態解明や治療の最前線に関する最新知見に加え、BPSDへの対応、専門医育成の在り方、多職種・多機関連携、地域医療体制の構築、さらには認知症基本法の理念を踏まえた共生社会の実現など、認知症の「現在」と「未来」を多角的に議論するためのプログラムを準備しております。本大会が、専門分野や立場の違いを超えて率直な議論と交流が行われる場となり、認知症に関わる全ての人が力を合わせて諸課題を克服する道筋を見出すとともに、認知症の人およびそのご家族が尊厳をもって自分らしく生活できる明るい未来を創り出す原動力となることを願っております。
多くの皆様のご参加を賜り、本大会が実り多いものとなりますよう、心からお待ち申し上げます。

