プリオン病とはどういった病気ですか?

 ヒトの体には、プリオンという蛋白質が存在しています。プリオン病とは、その蛋白質が何らかの原因で変異し、異常型プリオン蛋白となって、脳に蓄積する等して脳の機能が障害される疾患です。未だプリオン蛋白が異常化する機序、他の個体に伝達(transmission)する機序などが、解明されていない難病ですが、治療薬の開発が少しずつ進んできています。

 プリオン病は、頻度が約100万人に1人ときわめて希で、経過だけでも数ヶ月から数年と様々な病型があるものの、発症すると平均約1.5年で100%が死に至る致死性疾患であることから、治験を行うにはオールジャパンの体制で臨む必要があります。また、どのように病気が始まり、どのように病気が進むかという自然歴を明らかにして、それを活用する必要も大きいのです。

 このため、私たちはJACOP(Japanese Consortium of Prion disease)というオールジャパンの研究組織を立ち上げ、わが国におけるプリオン病の患者さんの登録、自然歴の把握、さまざまな臨床研究の推進をめざしています。

 JACOPでは、厚生労働省のプリオン病に対する低分子シャペロン治療薬の開発班、プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班、プリオン病と遅発性ウイルスに関する調査研究班の3つの研究班と協力をして、日本全国の医師とプリオン病の患者さんに呼びかけ、前向きの自然歴調査を開始し、将来的にはプリオン病に対する治験を行うことを予定しています。

JACOPの対象となる患者は?

 対象となる方はプリオン病の患者さんであり、主治医よりWHOのプリオン病診断基準を満たし、プリオン病の疑いがあると診断され、本研究に同意いただけるのであれば、すべての方が対象になります。

JACOPの調査方法を教えてください。

 JACOPでは大きく3つのことを行います。

  1. 受診時に、主治医から自然歴調査研究に関する説明を聞き、内容を理解して参加していただける場合には、主治医に参加するとお返事をしてください。
  2. 病状により異なりますが、入院、あるいは外来にて一定期間ごとに診察、あるいはプリオン病の経過における必要な検査を受け、JACOP用の調査票を担当医師に記入してもらいます。
  3. 病状により異なりますが、一定期間ごとに臨床研究コーディネーター(CRC)により、患者さんの病状を電話等で確認させていただきます。

個人情報管理体制について教えてください。

 JACOPでは、プリオン病の研究にご協力いただける患者さんおよびご家族の個人情報・研究資料は、個人を特定できないよう、すべて匿名化して管理しております。さらには、患者さんの状態を確実に把握できるよう、臨床研究コーディネーター(CRC)による情報収集システムを取り入れるなど、個人情報の取り扱いについては、特に厳重な体制で取り組んでいます。また、ご家族の方で、正常コントロールとして遺伝子検査をさせていただいた方につきましては、担当医にもご本人が特定できないように匿名化を行います。

 研究に参加後、ご本人の意思で参加を取りやめたい時は、いつでも取りやめることが可能です。ただし、匿名化されて個人が特定できない状態になっている場合は、資料を取り除くことができませんので、ご了承ください。

 なお、収集された臨床情報は国立精神・神経医療研究センター病院にて、また、遺伝子情報は東北大学大学院医学系研究科病態神経学教室、および国立精神・神経医療研究センター病院にて、厳重に保管されます。

JACOPに参加するには?

 JACOPではプリオン病と診断された患者の皆様に、プリオン病の研究にご協力をお願いしております。まずは、「CJDサーベイランス」に登録していただく必要があります。詳しくは「患者さんへ」をご覧ください。

JACOPに参加するには、特別な費用はかかりますか?

 本研究に参加いただくことによる、特別な費用は必要ありません。通常の診察に必要な診療費をお支払いいただくのみとなります。なお、プリオン病と診断された場合は申請により指定難病として医療費の補助を受けることができます。

JACOPの参加施設について教えてください。

 お近くのJACOP参加施設については、JACOP事務局におたずねください。

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