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尿路結石Urolithiasis


1. 尿路結石とは

 腎臓で作られた尿の通り道のことを「尿路」と呼び、ここに結石ができる病気を「尿路結石」と呼びます。一生涯のうちに男性は11人に1人、女性は26人に1人の割合で罹患します。結石ができた場所によって上部尿路結石(腎結石・尿管結石)、下部尿路結石(膀胱結石・尿道結石)などと呼ばれます。日本人では95%以上が上部尿路結石です。

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1)尿路結石の成因
 尿中のシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウム、尿酸などが原因とされますが、成因として図のような成因が考えられます。尿が濃縮されて濃くなると結石ができやすく、成長しやすくなりますが、結石ができる正確な原因ははっきりとは分かっていません。メタボリック症候群との関連も指摘されています。

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2)症状
 尿路結石が尿路に詰まって尿の流れを妨げることによって激烈な痛みが起こります。痛みとともに吐き気や嘔吐をおこすこともあります。尿路の感染があれば熱が出る時もあります。結石だからと言って必ず痛みがあるわけではなく、まったく痛みのないこともあります。また、結石のできる場所によっては尿意を頻繁に感じるようになったり排尿時に痛みを感じることもあります。
 血尿はもう一つの重要な症状です。目で見てわかるような血尿ではなくても、検診の尿検査から尿路結石が発見されることもよくあります。

3)診断
 尿路結石が疑われる患者さんには、まず尿検査と腹部レントゲン検査、超音波検査などが行われます。必要に応じて採血、CT検査、排泄性尿路撮影(造影剤を点滴しながらレントゲンを撮ることによって尿路を撮影する)などが行われます。


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4)治療
 結石の発作がおこっているときには鎮痛剤が投与されます。発熱があって感染を合併している場合には抗生物質も必要になります。尿管結石の約60%は自然排石します。結石の部位により異なり、上部、中部、下部尿管にある場合、それぞれ22%、46%、71%の排石が見られ、特に、8mm以下の結石は自然排石の可能性が高いといわれます。
 自然排出が期待できないような結石では外科治療が必要になります。治療の要約をフローチャートに示しました。


 かつては開腹手術しかありませんでしたが、以下に挙げるような技術の導入により、開腹手術が行われることは非常に稀となりました。


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a)
体外衝撃波砕石術(ESWL)
 体外で発生させた衝撃波エネルギーを体内の結石に収束させて照射し、結石を砕く治療法です。結石の大きさによっては治療を繰り返す必要があります。当院ではドルニエ社のリソトリプターSを用いた治療を行ってきましたが、最近は内視鏡技術の進歩のため以下のTUL・PNLでの治療が主流となっています。
b)
経尿道的腎尿管結石砕石術(TUL)
 尿道から細い内視鏡を膀胱・尿管・腎盂まで挿入し、結石を破砕します。入院で麻酔をかけて行います。当院ではおもにホルミウムレーザー(Ho-YAG)を用いた砕石を行っており、硬い結石でも対応可能です。応用範囲の広い方法ですが、大きな腎結石では破砕しきれないことがあります。
c)
経皮的腎砕石術(PNL)
 背中から腎臓へ直接細い管を通し、内視鏡を用いて結石を破砕します。おもに大きな腎結石に対して行われます。十分破砕しきれない場合にESWLを併用することがあります。
 それぞれの治療法はそれぞれに長所・短所があり、結石の状態によって適切な方法が異なりますので、担当医から説明を聞くようにしてください。また、どの方法でも結石は体内で破砕されるのみで、割れた結石は尿路を通して排出されるのを待たなければなりません。

5)再発予防
 尿路結石の50%は5年以内に再発するといわれており、たとえ結石の治療が終了して痛みがなくなったとしても、再発を防ぐための生活改善が必要ですし、場合によっては薬の服用が必要な時もあります。再発予防を考える上で結石の成分を知ることは非常に重要です。結石が排出されたら、回収して受診時に持参ください。少量の結石で成分分析が可能です。

 結石が多発している方や再発を繰り返す方、特殊な結石成分の方は、精密な検査が必要となりますが、多くの方は以下に挙げるような、一般的な注意事項を守っていただくことになります。

 飲水:一日の尿量を2L以上に保つよう、食事以外に2Lほどの水分摂取をお勧めします。水分の種類としては、水道水やシュウ酸の少ない麦茶・ほうじ茶などが最も適切といわれています。

 食事:過食・偏食を避け、バランスのとれた食事を摂ることが結石の再発予防につながります。カルシウムを十分にとり、シュウ酸 (ホウレンソウ、タケノコ、チョコレート、紅茶などに多く含まれる)の摂取を抑えるとよいでしょう。シュウ酸はカルシウムと同時に食べるとシュウ酸の吸収が抑えられるので、ホウレンソウのおひたしにはちりめんじゃこを添えるとか、チョコレートを食べるならミルクチョコレートにする、紅茶はミルクティーで飲む、といった工夫ができます。