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間質性膀胱炎Interstitial cystitis


1. 当科の特徴

 当教室では、間質性膀胱炎を専門的に研究しており、本邦では有数の診療実績を誇ります。間質性膀胱炎、あるいはそれに似た症状でお悩みの方は、ぜひ当科を受診なさって下さい。


2. 間質性膀胱炎とは

 間質性膀胱炎は、膀胱に起こる原因不明の慢性疾患です。症状としては、頻尿(排尿回数が多くなる)、尿意亢進(尿意が強く感じられる)などがあります。また、典型的な症状として、膀胱の痛みがあります。通常の膀胱炎は細菌によるもので、抗生物質が有効ですが、間質性膀胱炎では抗生物質は無効です。


3. 疫学

 年齢・性別を問わずみられますが、特に中高年の女性に多い病気です。診断基準も確立していないため、患者数ははっきりとわかっていませんが、人口10万人あたり500人との報告もあります。


4. 原因

 明らかな原因は分かっていません。膀胱粘膜の異常・自己免疫・アレルギー・自律神経の異常などが考えられています。


5. 症状

 頻尿(目安として1日8回以上)、一回排尿量の減少(200ml以下)、膀胱痛、尿道痛といった症状があります。膀胱の痛みは排尿後に改善することが多いとされています。症状は常に一定ではなく、自然に改善したり、悪化することがあります。


6. 検査・診断

 間質性膀胱炎と同様の症状は、膀胱・前立腺・尿道の他の疾患でもみられます。同様の症状は、子宮や膣など婦人科の病気でもみられます。そのため、間質性膀胱炎は、他の病気がないことを確認してはじめて診断可能な病気です。アンケートや尿検査、排尿日誌、膀胱鏡、膀胱水圧拡張術などが診断のために行われます。


7. 治療

 現在のところ、間質性膀胱炎を完治させる治療法はありませんが、多くの患者さんは下に挙げる方法を適宜組み合わせることによって症状が改善されます。

a.
生活指導
過度のストレスや刺激の強い食事・アルコール・コーヒーなどは症状を悪化させることがあるため、出来るだけ避けるようにします。
b.
膀胱水圧拡張術
脊椎麻酔(または全身麻酔)をかけたうえで、膀胱鏡で膀胱内を観察しながら、生理食塩水で膀胱を拡張する手術です。間質性膀胱炎に特徴的とされる出血所見がみられることがあります。約半数の患者さんで症状の改善が認められます。2010年から保険適応となっています。
c.
内服薬
抗うつ薬や鎮痛薬、頻尿治療薬が有効な場合があります。
d.
膀胱内注入療法
へパリン、局所麻酔薬などを、尿道から挿入したカテーテルを通じて膀胱内に注入することを繰り返します。保険外診療となります。
e.
ボツリヌス毒素膀胱壁内注入
脊椎麻酔(または全身麻酔)をかけたうえで、膀胱鏡で膀胱内を観察しながら、ボツリヌス毒素を膀胱壁に注入します。当科の検討では、治療効果は半年程度続きます。保険適応外治療となります。
f.
膀胱全摘術
上記の治療法を組み合わせても症状が改善しない患者さんには、最終手段として膀胱全摘術を行い場合もあります。 脊椎麻酔(または全身麻酔)をかけたうえで、膀胱鏡で膀胱内を観察しながら、ボツリヌス毒素を膀胱壁に注入します。当科の検討では、治療効果は半年程度続きます。保険適応外治療となります。