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会長挨拶(第17回会長)

今後の展望

鹿児島大学理事 愛甲 孝

 近年のがんの転移に関する基礎的・臨床的研究の急速な進歩は、これまでの先人の多大な努力の足跡があることは云うまでもありません。分子生物学、細胞生物学の発達により「温故創新」として時代的変遷が展開されてきました。その過程での果実として創薬に結びついたものも少なくありません。特に転移に関する分子機構に関する解明の研究成果の前後で、がんの転移に関する基礎的・臨床的研究も大きく変化した感があります。がん転移の治療に関しても、早期癌の占める頻度がどの臓器でも高くなってきたこともあり、臨床での対象疾患が減少しつつあることは喜ばしい事実です。とはいえ、膵臓癌や食道癌などの難治性癌では、以前として転移病変が治療の対象です。
 「がんの転移による死亡率を減少させる」ことが、本学会の究極の目的でありますが、実際、死亡率は減少したのでしょうか? ある種の癌では転移も制御できるようになったことは事実であす。少なくとも日常の臨床の現場では、癌転移にかぎらず日常の癌治療そのものが様変わりした感があります。
 このような状況の中、本学会も他の研究会・学会同様、最近会員数が減少しています。同様の研究会・学会が存在し、競合する部分もあることも理由の一つですが、学会の内容そのものが専門的過ぎて臨床医に敬遠されていることも危惧されます。第17回日本がん転移学会では「基礎・臨床・創薬の融合」のメインテーマのもと、新規の会員の獲得を図る必要があります。研究テ−マとして、「どうして転移するのか?」、「転移する癌細胞の真の性質・特徴は?」など基礎的にも未だ解明されていない命題も数多くあります。また、臨床面でも転移に対する癌化学療法や放射線療法のあり方を明確にする必要があります。「癌の転移の診断・治療に関するガイドライン」の作成は検討課題の一つです。いずれにしましても、本学会が「臨床と基礎との架け橋」として、若い研究者に魅力あるものになって欲しいものです。

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