IBDセンターでの研修概要

IBDセンター内科初期研修紹介(2012)

上へ戻る

研修の感想


【学生実習(医学部医学科)】

(内科)
IBDは近年増加しているとはいえ、一般病院ではまだ見ることの少ない疾患です。しかし、こちらのセンターでは非常に多くの症例があり、他の医療機関ではみることのできないような特殊な症例を勉強することができます。今回の実習で、とても多くの症例を経験し、IBDの診療の実際について理解を深めることができました。内視鏡所見や治療法など、教科書で学んだこととの違いに驚くことさえありました。

また、IBDセンターは内科と外科がひとつのチームになって治療を行うという、珍しい体制をとっていて、最初はその体制をとても新鮮に思いました。しかしIBDにおいては、適切な時期での外科治療が鍵となっていて、内科外科の垣根を超えて患者さん一人ひとりについて適切な治療法を話し合っていくということが、とても重要であると学びました。そして、チーム医療の実践とはこういうことなのだなと実感しました。

IBDセンターの先生方はとても優しく、教育熱心で、内視鏡や腸管エコーをはじめ多くの検査を見学させていただいたり、大腸モデルを使って実際に下部内視鏡の練習をさせていただいたりと、大変貴重な経験をさせていただきました。短い実習期間でしたが、本当に多くのことを学ぶことができたと思っています。

IBDについて興味のある方、是非IBDセンターに一度見学に行ってみてください。他では学ぶことができないことが、きっと得られると思います!

(平成23年・医学部5年生)


【初期研修】

(内科)
初期研修医2年目の12月の1か月間、IBDセンターで研修しました。 自分の場合、呼吸器内科に入局することが決まっていましたが、IBDセンターの研修を選択した理由は、全身管理や免疫抑制剤の使い方を学びたかったからです。 研修の感想は以下の通りです。

〇輸液、電解質、必要カロリー、貧血治療など、基本的な全身管理が勉強できた。
・輸液について、今まで水分量ばかり考えていましたが、電解質の量や時に脂肪製剤の投与など、中身について改めて勉強することができました。
・IBDは低栄養の患者さんが多く、栄養管理が重要であるため、入院患者さんの必要カロリーと現在の充足量を計算し管理します。今回初めて、自分の担当患者さんの必要カロリー計算をご指導いただいたことで、どのような病状の患者さんにどの程度カロリーが必要か、およそ分かるようになりました。今後の自分の患者管理にとても役立つと思います。
・貧血に対して、今までは漫然と鉄剤を投与していたのですが、貧血の原因のアプローチや治療効果の判定の考え方など、基本ですが大事な知識を学ぶことができました。

〇画像診断の重要性
重症IBDは緊急性の高い病態のため、内視鏡検査で病状を判断してすぐ治療を開始します。内視鏡画像を見て、病気の重症度やサイトメガロウイルスなどの感染の有無をその場で推測して治療を開始するのを見て、医師として画像診断の能力はとても重要であることを、改めて認識しました。

〇その他、様々な免疫抑制剤の効果や副作用管理、全身感染症のモニタリングについて学ぶことができました。

IBDセンターは小人数で、基本的に初期研修医は1名で研修することが多いです。急患対応、検査や処置も多く忙しいですが、短期間に多くの経験を積むことができます。内視鏡検査など上級医の先生と過ごす時間が長く、その間に初期研修の復習となるような全身管理の質問もできます。 自分のように消化器に入局しない先生でも、2年目に1か月研修するだけでも十分全身管理の復習ができますので、勉強したい先生に特にお勧めだと思います。

(平成30年・初期研修医(2年目))

(内科)
IBDセンターでは,病気の急性期から慢性期,内科から外科治療まで,全ての検査・治療の基本手技を一度に習得できます。 人数が少ない分,指導医と研修医の距離が近く,内視鏡をはじめ数多くの検査や処置を毎日積極的に体験させて頂きました。
皆さんも是非,ここでの研修をお勧めします!

(平成21年・初期研修医(1年目))


(内科)
炎症性腸疾患(IBD)センターの研修の特徴として、以下の5つが挙げられる。

@自由度の高い研修。IBDというと狭い特殊な研修をイメージするが、疾患の特殊性が高い分、実際には初期研修医には配慮されている。具体的には、はじめに自分が何を中心に研修したいか(内視鏡検査の実践、CTの読影、全身管理、CV挿入の手技、など)、まずは希望を聞かれ、研修期間は、可能な限り個々の希望に沿った研修内容にしてくれます。これは、大学病院の人数の少ないセンターならではの、きめの細かいオリジナルな研修だと思った。 自分は内科研修だったが、消化器だけでなく手術も含めた治療全般に興味があることを伝えたところ、担当患者さんの手術や包交にもついて指導してもらい、本当に色々な勉強ができた。また、週1回は上部・下部消化管モデルを使って内視鏡の練習も自由にでき、手技を取得すると丁寧な指導のもと実際の検査に積極的にかかわることができた。TPN管理の患者さんも多く、CV穿刺手技の習得や、栄養管理についても改めて勉強することができた。

AIBDは予定入院がほとんどなく、基本的に緊急入院が主なため、急患の身体所見をとる機会が多く、初期診察の勉強になる。また入院患者さんも重症例が多いので、実際に担当患者さんが入院中に急変し、速やかに診察対応行うことで、緊急手術までスムースに運び、劇的に改善した症例を経験することができたことは、貴重な勉強になった。

B自分は若い患者さんに対する対応を勉強したかったが、IBDセンターでは10歳から20歳前後の若い患者さんが多い。慢性疾患なので、主治医が患者さんと良好にコミュニケーションをとり、患者さんの仕事や学業への復帰まで配慮してベストと思う治療戦略を立てるという医療者としての基本姿勢は、この科ならではの貴重な研修だと思った。また、小児患者さんの内科・外科的な消化器診療も勉強できた。忙しい日常診療の中でも、毎日丁寧なムンテラが行われており、上級医のムンテラや患者さんの対応に触れることは、とても参考になった。

CIBDという疾患を、内科・外科治療まで系統立てて学べ(病態、薬物治療、手術、感染管理…)、他疾患にもつながる学習ができた。

Dスタッフの先生が、とても指導熱心でとにかく優しい。毎日、のびのび研修できた。

(平成23年・初期研修医(1年目))


(外科)
炎症性腸疾患は特殊な疾患ですが、IBDセンターでの研修では、輸液栄養管理、画像評価(レントゲン、CT、内視鏡)、内科的な治療評価(採血や尿検査の検査値の評価など)など、基礎的・全般的な勉強ができます。また、上部・下部内視鏡や、造影検査など、研修医に対しても画像検査の実践的な指導も積極的に行われます。

また、IBDの手術件数は全国的にも多く、手術に参加する事が可能です。外科では手技は当然のこと、周術期管理の勉強もできます。術前は全く食事を摂取できず下血に苦しんでいた若い患者さんが、食事を食べ元気に退院していく姿を見るのは胸を打つものがありました。

炎症性腸疾患IBDセンターは内科と外科に分かれてはいますが、センター内での垣根は皆無に等しいです。内科的な管理の考え方も勉強できますし、カンファレンスや勉強会はもちろん、時には病院外でのレクリエーションも、同じ患者さんを診る内科と外科が密に連携を深めてチーム医療を実勢しているのはとても勉強になり、他のセンターでは体験できない点だと思います。

炎症性腸疾患は近年増加傾向で、潰瘍性大腸炎は全国で13万人、クローン病は3万人を越えています。特に神奈川県は患者数も多く、当センターには神奈川県のみならず全国から患者さんが集まってきます。「炎症性腸疾患なんて特殊で稀な病気」などと思っていたあなた。一度回ってみると、炎症性腸疾患のニーズの高さに驚くことでしょう。また、炎症性腸疾患は治療に関しても新薬が次々と開発されており、治療法も隼の如くの勢いで日々進歩しています。当センターでは最先端の治療を実践しており、大学病院での研修ならではの最先端の治療を積極的に習得することができます。

1か月からでも研修ができますので、ぜひ一度、炎症性腸疾患IBDセンターで充実した研修をしてみてはいかがでしょうか。

(平成23年・初期研修医(2年目))


【後期研修】

(内科)
私は後期研修2年目に半年間IBDセンターで研修を行いました。IBDセンターは全国でも有数の患者数を誇り、潰瘍性大腸炎やCrohn病の検査や治療にどっぷり漬かりました。専門的な知識も必要で、それまで非常に苦手としていた分野であり、初めは不安も強かったのですが、熱心な指導医の先生のもと少しずつ所見の見方や治療法がつかめてくるのは楽しくもあります。

IBDセンターは、自分たちと同世代に近い若い患者さんが多く、病気によって学校や仕事の継続に困難を抱えることも少なくありません。そんな時、患者さんの生活全般の話を聞き悩みに寄り添い、一つ一つ解決策を考えていく指導医の先生の姿から、慢性疾患を抱える患者さん、若い患者さんの治療において、大事な多くのことを勉強させて頂きました。

また日本では非常に珍しいのですが、IBDセンターでは外科医と内科医が一つのチームとして診療をしています。毎日夕方のカンファレンスも合同で行います。外科の先生の見方・考え方を毎日身近に学べる機会はなく大変貴重な経験でした。担当患者さんの術中所見や、手術検体を見せていただくことで、自分たちが治療してきた患者さんの腸が実際にどうなっていたのを毎回フィードバックされることで、診断治療に対する研修効果が大きく上がり、大変貴重な経験でした。

現在は大学院に進学し、IBDセンターの指導医の先生のもと、臨床研究を行っています。研究自体が初めてなので何をどう進めたらいいか日々模索の毎日ですが、「将来患者さんの役に立つことなら、自分の信じるようにやっていいよ」と自由な雰囲気のもと、内科・外科の先生やコメディカルスタッフ、他施設とも共同での研究を展開し、楽しく自由に研究させていただけることに感謝しています。

IBDセンターは非常に雰囲気がよく、かつ指導医の先生方が熱心なので、診療の専門的知識や技術を学べるだけではなく、臨床研究や学会発表等のチャンスも非常に恵まれています。皆さんも是非一度IBDセンターに見学・研修にいらしてください。

 

(平成21年・後期研修医・2年)

上へ戻る