炎症性腸疾患(IBD)とは? | 治療方法 | 手術室 |
炎症性腸疾患(IBD)とは?
炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease(IBD))とは、腸の粘膜に炎症や潰瘍を生じる原因不明の慢性疾患です。おもに、潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)とクローン病(Crohn’s disease:CD)の2つの病気を指しています。腸に炎症がおこると、下痢や腹痛、血便、発熱などの症状がみられます。おもに10〜20歳代の若年者に発症し、病気は再燃(=悪化)と緩解(=落ち着くこと)を繰り返す慢性の経過をたどります。
この病気は欧米に多く日本では少ない病気と考えられていましたが、ここ20年ほどで国内の患者数が急増し、2007年の時点で10万名を超えています。また国内でも、とくに東京、神奈川などの都市圏で、患者数がより多い傾向がみられます。そのため、"腸の現代病"とも呼ばれています。
病気の原因はわかっていませんが、おそらくぜんそくや関節リウマチなどと同じように、本来身体を守るべき免疫の働きが、何らかの理由で誤って自分の身体を攻撃してしまうようになって引き起こされると推測されています。現時点では残念ながら病気を完治させる治療はまだありませんが、診断や治療法は進歩しており、多くの患者様は病気を落ち着かせて通常の生活が送ることが可能です。しかしときには、病気の勢いが強く治療に難渋したり、入院の上で強力な薬物治療や手術が必要になる場合もあります。本邦では1973年に潰瘍性大腸炎、1975年にクローン病の特定疾患研究班が発足し、1日も早い病態の解明と治療の確立を目指して、研究に力を注がれています。
潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜に、炎症やびらん・潰瘍などが繰り返しできる、原因不明の腸炎です。 下痢、腹痛、粘血便などの症状がみられ、重症になると発熱や大量の血便、貧血などを伴います。
発症年齢のピークは20歳代にみられますが、若年者から高齢者まで発症します。男女比は1:1で、性別に差はありません。平成20年度特定疾患医療受給者証交付件数では、国内の患者数は10万名以上と報告されています。
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難病情報センター:潰瘍性大腸炎
クローン病
口から肛門までの消化管の粘膜に炎症や深い潰瘍・瘻孔(穴)などが繰り返しできる、慢性再発性腸炎です。1932年にニューヨークのマウントサイナイ病院の内科医クローン先生らによってはじめて報告されたためこの名があります。
症状は下痢、腹痛、血便、発熱、体重減少などで、炎症を繰り返したり高度になると、腸管の狭窄やろう(瘻)孔などの、高度な腸管障害を生じます。
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難病情報センター:
クローン病