ACP215 セルウォッシャーモデル215を用いた凍結自己赤血球の洗浄の比較研究
研究課題名:
ACP215 セルウォッシャーモデル215を用いた凍結自己赤血球の洗浄の比較研究
東京大学倫理委員会承認日(承認番号):
平成24年9月24日(承認番号3919)
研究内容:
 当院では,同種血回避を目的として待機的手術患者さんなどを対象に,現在最も安全とされる自己血輸血を推進しています.自己血輸血を安全かつ適切に実施するため,平成18年より自己血外来を設置し,症例数も増加しています.手術までの期間が長い場合には,血漿分離して濃厚赤血球を液体窒素内(−196℃)で凍結保存をしています.濃厚赤血球を凍結保存する場合は,凍害防止液(30%グリセリン液)を添加し,液体窒素中での急速冷凍法を実施しています.
 また,凍結赤血球を使用する際には,解凍作業を行い,洗浄して凍害防止液を取り除き、自己洗浄赤血球として供給しています.洗浄操作は,バックを開放してクリーンベンチ(無菌環境を作る装置)内で行っています.清潔操作を徹底して解凍作業を行っていますが,完全な閉鎖系を維持することは不可能なため,解凍後の有効期限を12時間と短く設定しています.これらの解凍・洗浄操作は,多少の熟練を要し,供給までに約2時間を要するため,自己凍結赤血球は,使用できるまでの時間的な制約があります.
 自動洗浄装置(ACP215 セルウォッシャーモデル215;以下ACP215)を用いた自動洗浄法では閉鎖回路を崩すことなく,洗浄液の添加や廃液の除去が可能であるため,細菌汚染のリスクは低く,クリーンベンチ内での作業は必要ありません.また,機械による操作は用手法よりも短く,供給までの時間も1時間程度と短縮されます.本邦では,自己濃厚赤血球の保存に急速冷凍法を用いる施設は他に存在しないため,ACP215による赤血球(自己または同種)解凍に関するデータは,緩速冷凍法に関してのみ存在し,今後の十分な検討が必要です.また,海外からのデータでは,本装置により解凍した同種血は,解凍後7日間の有効期限を有すとされており,解凍後の自己濃厚赤血球が長期に利用可能になる可能性が期待できますが,細菌感染のリスクなどを含む十分な検討を加える必要があります.
 以上より,本研究では,凍結自己濃厚赤血球の解凍作業をより確実で安全なものにし,供給体制を強化することを目的とし,ACP215を用いた自己濃厚赤血球の解凍における安全性と有効性を評価し,自動洗浄法による解凍赤血球の洗浄をルーチン作業への応用の可能性を検討します.
 方法は,各診療科から廃棄許可が得られた凍結赤血球を温湯にて解凍し,ACP215を用いた自動洗浄法で解凍作業を行います.洗浄の効果は,解凍洗浄赤血球上清の浸透圧,洗浄液のHb濃度,赤血球回収率を算出して,現在,用手法にて洗浄している解凍洗浄赤血球の上清の浸透圧,洗浄液のHb濃度,赤血球回収率と比較します.(川端みちる)
研究における倫理的配慮について
 本研究に用いる廃棄許可の得られた凍結赤血球は,自己血の採血の際に患者さんへの「貯血式自己血輸血に関する説明書」とその「同意書」に記載してあります,「手術時に出血量が少なかった場合,患者さんに輸血する予定がないことを確認した上で,自己血を廃棄する」ことへの同意を得られたものを匿名化し、使用します.したがって,患者さんに不利益を及ぼすことはありません.
 研究に対してさらに説明を希望される方は下記連絡先までお申し出ください.使用せず、今後も使用する予定のない自己血の研究的利用への同意の撤回は、各診療科より廃棄許可が出るまでは可能です.廃棄許可の状況については,下記連絡先までお問い合わせください.廃棄許可後は個人情報を連結不可能匿名化いたしますので、同意の撤回は不可能となります.
連絡先 (曽根伸治)
〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学医学部附属病院 輸血部
電話:03-3815-5411(内線:35162)
電子メール:sone-blo@h.u-tokyo.ac.jp
 
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