がん化学療法に伴う貧血(Chemotherapy-induced anemia, CIA)に関する実態調査
研究課題名:
がん化学療法に伴う貧血(Chemotherapy-induced anemia, CIA)に関する実態調査
承認番号,承認日:
平成23年12月5日(承認番号3657)
内容:
1.はじめに
 この度、日本癌治療学会並びに日本輸血・細胞治療学会が行う多施設共同、後向き(過去のデータを用いる)、包括的、観察研究の内容についてご連絡申し上げます。国内で癌治療、特に癌化学療法を専門に行う施設(大学病院や各都道府県のがんセンターなど、癌治療における基幹施設を中心に)を含めた共同研究であり、東大病院はこの1施設として参加いたします。
2.研究の背景、目的、方法
@背景と目的
 近年、有効性の高い抗癌剤を組み合わせた化学療法により、癌治療の成績は飛躍的に向上している中、癌化学療法時の患者さんの生活の質(Quality of Life, QOL)を考慮した治療戦略が重要になってきております。癌化学療法に伴う貧血(CIA)により、頭痛、めまい、倦怠感などが生じることがあり、それらに対する治療法として、本邦では、現在、濃厚赤血球の同種血輸血が唯一の方法であります。本邦の同種輸血用血液の安全性は飛躍的に向上していますが、輸血後感染症(B型肝炎、C型肝炎、ヒト免疫不全ウィルス(HIV))の危険性をゼロにすることは困難であり、また、死亡率の高い輸血関連急性肺障害(TRALI)などの免疫学的副作用のリスクが依然と残っている現状であります。それに対して、世界100カ国以上で多くの癌種に伴うCIAの治療に用いられている赤血球造血刺激因子製剤(Erythropoiesis stimulating agents, ESA)は、本邦では潜在的な生命に対するリスクが未解決との理由でCIAの治療薬として未だ承認されていません。本研究では、国内での癌化学療法に伴う貧血(CIA)の実態および輸血治療の現状を明らかにし、CIA治療の今後の方向性を探求することを目的としております。事務局は、日本輸血・細胞治療学会事務局内(文京区本郷2-14-14ユニテビル5階)にあります。
A方法
 後向き解析を行います。すなわち、既に癌治療が行われた方について、病歴(カルテ)、臨床検査データ、輸血に関する情報などを参照し、解析いたします。
B対象
 2010年9月〜11月の3ヶ月間に当院を受診し、癌と診断された患者さんを対象とします。対象とする癌の種類は、乳癌、肺癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、婦人科系癌、泌尿器系癌及びリンパ腫となります。
C研究参加者の実体験
 本研究は、過去に行われた検査及びカルテ記録を元に行われる後向き解析(過去のデータを用いる解析)であり、対象となった方が本研究のために新たに検査や治療を受けることはありません。
3.研究が行われる機関または実施場所
 東大病院において癌に対する化学療法を行われた方のデータについては、当院のそれぞれの担当診療科の責任医師によって集積されます。集められたデータは、個人が特定できないようにして、事務局が設定している安全な情報管理のための調査専用ホーム・ページから直接入力する方式となっております。
4.研究における倫理的配慮について 人権への配慮(プライバシーの保護)
 研究実施に関係した原資料類および同意書等を扱う際は、研究参加者の秘密保護に十分配慮いたします。病院外に提出する報告書、学会発表、学術論文においては、研究参加者を特定できる情報を含めません。もしもこのホーム・ページで公開した本研究内容をご覧になり、研究対象となることに同意されないと連絡された方は研究対象には含めませんので、ご連絡下さい。ご連絡頂かなかった場合、ご了承いただけたものとさせていただきます。  本研究に参加されなくても貴方が不利益を被ることはありません。また、本研究に参加されても、報酬は支払われません。研究に必要な資金は、東大病院輸血部委任経理金より拠出されます。  このような臨床研究に対してさらに説明を希望される方、また個人の臨床データの収集及び臨床研究への利用を拒否される方は研究責任者の橋孝喜(東大病院輸血部 部長)までお申し出ください。
連絡先
橋孝喜/津野寛和
〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学医学部附属病院 輸血部
電話:03-3815-5411(内線:35166)
電子メール:takahashik-tky@umin.net (橋孝喜)、tsuno-tky@umin.net (津野寛和)
 
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