輸血部の研究指針 

研究課題名:
東大病院の外来診療あるいは入院診療に際して、輸血療法を受けられた患者様へ「輸血患者の診療情報解析による後向き研究」へのご協力のお願い
承認番号,承認日:
平成23年1月17日(承認番号3312)
内容:
輸血医学は近年飛躍的に発展し、輸血によって発生する問題や副作用は激減しています。現在、輸血に使用している同種血液(献血由来の血液)に関しては、ウィルス感染(B型肝炎、C型肝炎、ヒト免疫不全ウィルス(HIV))の検査に、非常に感度の高い核酸増幅(NAT)検査を用いており、また、致死率の高い輸血後移植片対宿主病(GVHD)を予防するため、放射線照射を行っています。さらには、免疫学的副作用(蕁麻疹、発熱、呼吸困難、ショックなど)を少なくするため、全ての輸血製剤に対して保存前白血球除去(白血球を製剤中から取り除く処理)が実施されており、細菌汚染を防止するために初流血除去(献血時、最初の25mlを除去する方法)が施されています。その結果として、本邦では輸血感染症は激減しており、免疫学的副作用の発生も減少傾向にあります。また、当院では自己血輸血の実施を推進すべく、平成18年より輸血部内に「自己血外来」を設置し、適応のある患者に対して、自己血輸血を積極的に実施しています。しかし、同種血輸血および自己血輸血に関わる問題、特に同種免疫抗体産生などの課題が残っており、これらを改善し、さらに輸血医療を発展させるためには、下記のような検査法に関わる基礎的な研究及び輸血に関する臨床的な影響を追跡する研究を実施する必要があります。そのためには、患者様の保管試料や情報(病歴、検査試料など)が必要不可欠となります。 基本的に、研究内容を東京大学の倫理審査委員会で審議し、承認を得た上で、研究を実施致します。そして、診療において得られた試料や診療情報を研究のために利用する場合、個人の秘密の厳守を徹底することはいうまでもありません。さらに、個人情報保護の観点から、これらの試料や診療情報を研究に利用する場合には、原則として、患者様に研究内容を十分ご説明し、賛同いただけた場合に同意をいただき、研究に参加していただくことにしています。しかし、診療後の保管試料や診療情報を、医学研究に利用させていただく場合、予めご了解をいただくことが困難であり、特に患者様に新たな不利益などが生じないために、このようにホーム・ページにおいて研究内容を御説明する方法を取らせていただいております。患者様の診療情報及び検査後の残余検体、保管試料を研究に活用することを御了承いただきたく存じます。それぞれの研究内容および研究責任者を下記表示していますので、以上の研究に関して、さらなる情報が必要な方は、下記問い合わせ窓口にご連絡下さい。 【予想される研究の内容一覧(包括同意利用倫理審査承認課題を含む)】 当輸血部で行っている研究及び今後実施を予定している研究としては、下記のものが挙げられます。
I. 検査法の精度管理、開発・改良を目指した研究
1) 輸血副作用における抗血小板特異(Human platelet antigen, HPA)抗体及び抗白血球抗体(抗HLA抗体、抗human neutrophil antigen (HNA)抗体など)の関与に関する研究、
2) 残余検体の同種抗体検査法などへの使用(倫理委員会承認1560)。
3) HLA抗原、HPA抗原などの骨髄及び臓器移植における重要性の研究、
4) その他輸血療法に関する研究
II. 患者様の過去の試料や情報を解析する研究
1) 輸血用血液(濃厚赤血球、濃厚血小板、新鮮凍結血漿など)の適正使用推進のための研究、
2) 赤血球の適合検査に関する研究、
3) 輸血副作用発生の機序、予防法及び治療法に関する研究、
4) 輸血副作用の報告体制に関する研究、
5) 輸血感染症検査に関する研究、
6) 輸血遡及調査の実施に関する研究、
7) 自己血輸血の推進に関する研究、
8) 自己血輸血の問題や副作用に関する研究、
9) 血小板機能に関する研究、
10) 血小板製剤の保存方法に関する研究、
11) 輸血同意書及び血漿分画製剤同意書に関する研究、
12) 造血幹細胞の採取、保存に関する研究、
13) その他輸血療法に関する研究
 
東京大学医学部附属病院
 
輸血部 部長・教授
橋 孝喜
(問い合わせ窓口) 東京大学医学部附属病院 輸血部 津野寛和
〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
03-3815-5411 (内線35166)
 
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