Usefulness of combined white blood cell count and
plasma glucose fro predicting in-hospital outcomes
after acute myocardial infarction.
JACSS investigators. AJC 97 (11) p1558, 2006.
日本の急性心筋梗塞の入院時のデータをまとめたのが今回のJACSSの論文であるが、上の3つと違い、高血糖の是正で如何に予後を改善せしめたかには、至っておらず。「高血糖は予後が悪かった」に留まっている、しかし、現状を把握する事は足場を固めるのに必要である。
3665例を解析し、血糖順に三分割した。心筋梗塞範囲を示すCKの値が高く心不全の指標が悪く、高血糖群で2倍の院内死亡率をみていた。糖尿病の診断自体は随時血糖で200mg/dl以上であり、高血糖と言っても182mg/dlを超える程度なので著しい値ではなく。通常の血糖スライディングにも触れない値である。
グループ | 低< 133mg/dl 1206名 | 中133-182mg/dl 1225名 | 高 >182mg/dl, 1234名 |
---|---|---|---|
Killip分類II以上 | 11% | 14% | 27% |
心拍出率 | 56±13% | 54±12% | 52±12% |
CK IU/L | 2444±2403 | 3025±2820 | 3270±3061 |
院内死亡率 | 3.6% | 4.6% | 9.6% |
さらに、白血球の値を組み合わせるとWBC>11,000/m3かつBS>182mg/dlの群では11.8%の院内死亡率になっている。心筋梗塞も壊死部が炎症を起こしていると受け止める事ができる。炎症があると白血球が増え、耐糖能が低下する。炎症の結果といえばそればでであるし、高血糖群が61%既知の糖尿病患者であったのに対して中:22%、低:12%と患者背景が悪いと切って捨てることもできなくはない。しかし、上の3つの論文はそれでも110mg/dl 以下、施設や医師によっては低血糖と判断する事もある80mg/dlの領域まで血糖を正常化させる事で予後の改善を図っていることにも留意しないといけない。同じ号のAJC誌p1573にはOPUS TIMI 16での入院時での血糖と予後という米国での同様の研究が発表されている。
血糖mg/dl | ≦101 | 101-120.6 | 120.6-157 | ≧157 | p= |
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全患者9020名 | 2.7% | 3.1% | 4.6% | 7.0% | 0.001 |
糖尿病1906名 | 3.8% | 3.8% | 9.6% | 7.7% | 0.06 |
非糖尿病7114 | 2.7% | 3.1% | 3.6% | 6.1% | 0.001 |
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