注意!パラメーターは極めて概算であり
事実を明快に説明する物ではない!

スタチンのご利益

H17.11/21

三共によると国内へのメバロチン®の出荷額は1000〜1100億円である(その他に海外への原末供給が700億円ある)。
薬価は145円50銭だが、三共としての出荷価格は判らない、出荷錠数も明快ではなかったので、判んないけど100円と思って10億錠出荷されている事になる。
内服尊守率や病院での死に在庫も判んないけど3人が1,000錠/年呑んだ事にして話を進める。と、3百万人に処方されている事になる。
冠疾患でNNT114、冠疾患+脳卒中でNNT91だから、これも丸めて100人呑むと1人ご利益があるとして5年で3万人に何らかの動脈硬化疾患予防効果があったとこになる。毎年6千人、毎日21人。
日本のお医者さんが全国で7名深夜帯に見なければいけない患者さんが減っている勘定になる。夜中の心カテーテルは、人的資源の上で最悪のコンディションで行われるのが、2名くらい増えてもどうした事は無いとも云える。
一方で、新規の虚血性心疾患は日本で10万人/年、一回起こした人の再発率は2倍なのでもう少し多い数のの虚血性心疾患が日本においてあり、それを見るのに循環器の医者がドンドン燃え尽きているのはさておき、メバロチンだけで6%(6千人)、3千億円といわれるスタチンの市場規模から考えるとHMG-CoA還元酵素阻害剤全体で18%(1万8千人)虚血性心疾患を防いでくれている。6%心カテを必要とする数が少なくて済み造影剤やチューブや何より医師の教育養成が少なくて済んでいる。
メバロチンを呑むべき人口を勘案すると勤労者の定期検診における有所見者数は高脂血症で25%前後になる。もちろん全員が内服する必要は無いのだが千万人が呑むと1兆円掛かる代わりに毎年6万人の虚血性心疾患が防止され、毎晩60名程度の夜間当直帯の心臓カテーテルをしなくて済む「かも」しれない。
でも、それに1兆円掛ける価値があるかはまた別の話である。


Effectiveness and efficiency of different guidelines on statin treatment for preventing deaths from coronary heart disease: modelling study.
BMJ, doi:10.1136/bmj.38849.487546.DE (published 31 May 2006)

カナダのCanadian Heart Health Surveyのモデルで、英米豪NZのガイドラインを当てはめた所、ニュージーランドのガイドラインでも14,700名の死亡予防効果が期待できた。その場合はHMG-CoA還元酵素阻害薬を12.9%に処方すれば、済むのに対し、米国のガイドラインを遵守すると24.5%がスタチンを内服することになるのに救命できる人数に差はなかった。

スタチン投与率とNNT
内服率NNT
米国24.5%198
NZ12.9%108
英豪17.3%139

安いHMG-CoA還元酵素阻害薬

H18.12/2

BMJでシンバスタチン(リポバス®)の費用効果[HPSコラボレートグループBMJ 2006;333:1145 (2 December)]を判定しているが、基礎となっている値が、4週間処方で後発品が5ポンド弱(£4.87=1100円)それも英国なので40mg日本なら20mgが精々なので、19円/日となる。この前メバロチンが40円ならといったが、後発品の品質次第では十分実施可能性があるという事になる。なお日本の値段は、ブランド品のリポバス®20mg 1錠 617.10円。これでは全然費用対効果を英文論文から読み込めない。心事故率は1割で薬価が10倍では。
J-LITスコアでは1次予防は2名/千人・年、2次予防は9名/千人・年。20円のリポバスなら500名に処方して365万円。カテなら200万、バイパス手術なら150万足がでるが、更にプラビックス錠75mg(¥289.6)があるから、賄える。昔の計算では後発品のチクロピジンとアスピリンであるのであるので、というと泥縄だけど。


チョコレートは多晶性といって融点が微妙に異なる結晶が幾つかあり口溶けに関わっている。製法が違えば腸で溶けたり胃で溶けたり強いては吸収に影響する。アモルファスにすれば安定するとか云う研究もなされている。


[][H17.11/18 前回]


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