2009-08-28
例年、感染の数が把握できるようになってから頂点までは6から8週。終息するのに12週というのは変わらない。A型とB型が別個に流行ったので平成21年は、1月と3月の2回峰があったが、ピークの高さは差異があっても、横軸の時間は変わらないのが、インフルエンザである。
昔、昭和32年に中国南部で4月から流行が始ったアジア風邪(H2N2)が日本でも流行した。昭和30年代の年間死者数は70万人が平均の所、同年は75万人死亡し、インフルエンザと死因欄に書かれた例は7,500名を上回った。
オーストラリアではアデレードのある南オーストラリア州で流行の推移を見てみる。例年縦軸が20-80例/週がピークに対して、今年度は千二百例と2桁多くなっている。
2008-09年を一括にすると、横軸の左から三分の一の所に微かな盛り上がりがあるが、昨年のピークである。これに対して右側の今年のピークは大きい。ピンクの折れ線の救急患者数や青のGPでの感冒様症状受診者数で10倍、実験室的診断(PCRや抗体などの確定診断数)で30倍になっている。
2007年はこのようなグラフであった。
ニュージーランドでの感冒様患者受診者数推移でも、家庭医(GP)では5倍程度が来院している。
英国は日本に較べ、到達がはやく、その分第30週でピークを迎えていた。英国はイングランドとスコットランド、北アイルランドで統計が別になっている。昨冬の季節性インフルエンザのピークの4.5倍程度であった。
今期の東京のグラフを見ると第32-34週から定点あたりのインフルエンザ患者数が1を越えている。
1週間に一人のインフルエンザ患者が来院したのが定点あたり1の意味である。例年は30くらいがピークで、最近では50のピークが最高である。オーストラリアの経験からすると週に300例くらい、1日50例くらいは来院するのがピーク時であり、前後1ヶ月はそれほどでなくても毎日10例は来ると考えないといけない。
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カナダと南アフリカも英連邦繋がりで掲載しておく。
カナダはメキシコからの伝播が早く、33週までに1441名の入院と71名の死亡をみたが、22から24週のピークの後は一度落ち着いている。また、そのピークは冬の季節性インフルエンザのピークと大きな違いは無かった。
南アフリカは旧来の季節性インフルエンザの流行が下がりきらない後、株の交替をみてこれから流行を迎えようとしている。
2009-09-06
超過死亡については日本の統計は4/28で集計が止まったままで8月末現在再開されていない。
米国では集計が通年続いているので紹介すると、昨シーズンのような超過死亡は表れておらず、確かにインフルエンザ関連死亡は存在するが、社会の影響は心理的な物を下回ったレベルで夏の間は踏みとどまっているようである。
米国の超過死亡のカーブ(34週まで)も変動の範囲内に収まっているので超過死亡は見られていない。
米国のインフルエンザ関連小児死亡数(34週まで)でも、ピークは感冒様症状受診者と比例し、患者数を上回る死者は見られていない。
感冒様症状による外来受診者数は抑制されたレベルで漸減を続けていたが34週に入り急峻な上昇に転じている。
昨シーズンは超過死亡が見られたが、それは緑の線での流行規模に比例した物である。
2009-10-22
日本全体ではシルバーウィークによる休業や適切な遅滞戦闘の成果で、体育の日よりもピークはずれ込みそうである。全国一斉にピークになると薬剤などの分配に支障が出るが、北海道など地域ごとに多かったり少なかったりばらつきが見られる。