当地域医療システム学寄附講座は熊本大学医学部附属病院に平成21年1月に開設された熊本県の寄附講座です。設置期限は5年間で平成26年3月までとなっております。スタッフは特任教授1、特任講師1,特任助教2,事務補佐員1です。
当寄附講座が実施している地域医療教育に関して紹介します。
1)地域医療講義
地域医療システム学寄附講座独自の講義枠は無く、3年生の公衆衛生学の枠を6コマ頂き、プライマリ・ケア、日本の医療制度、医療法と地域医療計画、高齢者医療と介護保険、医療の偏在とへき地医療、在宅医療などについて講義を行っております。
2)地域医療勉強会
地域医療ゼミと称して地域医療の勉強会を1〜2ヶ月おきに開催しており、2013年11月までに32回開催しました。当初は熊本県医師修学資金貸与学生を対象に実施しておりましたが、その他にも地域医療に興味がある学生がいるとのことで、一般の医学生や看護学生にも自由に参加してもらう会にしております。最近は教員のレクチャーのみならず、学生が主体的に地域医療に関する事を学んで皆の前で発表し、それに対して教員がコメントを述べるような形式も行っております。
3)地域医療実習
当寄附講座では初年度(2009年度)より夏期休暇期間を利用し、熊本県医師修学資金貸与学生と自治医科大学学生の合同夏期地域医療実習を実施してきました。初年度は熊本県医師修学資金貸与学生3名、自治医科大学学生10名の合計13名で始まった地域医療実習ですが、熊本大学の熊本県医師修学資金貸与学生が毎年5〜7名増加し、2013年夏の実習は合計39名の大規模な実習となりました。この実習を通し学生達は地域医療の実際を学び、地域住民の視点から医療を考える事が出来るようになり、更には将来同じ地域で地域医療に従事する可能性のある自治医科大学学生と熊本県医師修学資金貸与学生の交流が深まり連帯感が生まれてきたと思います。 その他、熊本県医師修学資金貸与学生以外の一般学生を対象に春期休暇時に地域医療セミナーと称して小国公立病院や上天草総合病院での地域医療実習も実施してきました。
正規のカリキュラムの一環としての実習は、今年4月にクリニカルクラークシップに地域医療実習を取り入れる試みが始まり、6年生4名が4カ所の地域医療の現場にて1週間ずつ合計3週間の実習を受けました。今後は臨床実習を大幅に増やす予定の新カリキュラムに於いて熊本大学医学部医学科学生全員に対して地域医療実習をクリニカルクラークシップの一環として実施する計画となっています。
以上、熊本大学医学部附属病院・地域医療システム学寄附講座の紹介をして参りましたが、冒頭に述べましたように当寄附講座は平成26年3月までの開設となっておりました。国からの地域医療再生臨時特例交付金の拡充にともなって2年間延長となりましたが、交付金の終了とともに平成28年3月までで終了の予定です。
以後の地域医療教育に関しては平成24年に開設された熊本大学大学院生命科学研究部附属臨床医学教育研究センターが担当するものと思われます。
全国の地域医療関連寄附講座の中に熊本大学医学部附属病院・地域医療システム学寄附講座と同様に地域医療再生特別交付金の終了とともに講座も終了する予定のところがあるのか、情報がありましたら下記までお寄せ頂ければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
連絡先:〒860-8556 熊本市中央区本荘1-1-1
熊本大学医学部附属病院・地域医療システム学寄附講座
http://www2.kuh.kumamoto-u.ac.jp/chiikiiryo/