嘘をつくのは患者ばかりではありません.論文も嘘をつきます.それも,NEJMやランセットばかりではありません.「ほとんど」の雑誌の論文がです.そんなの当たり前だろって言えない人,本当にそうなのかしらんと疑う人は,下記の論文に興味が湧くでしょう.Plos Medicineですから,誰でも自由に無料で読めます.PDFもダウンロードできます.
Ioannidis JP. Why most published research findings are false.PLoS Med. 2005 Aug;2(8):e124.
「most」という単語がミソですね.つまり自分の論文は本当のことを言っているという余地を残しているわけです.その主張が本当に正しいかどうか,さらに検証したい人は,実際に読んでみろと著者は読者に挑戦状を叩きつけています.
そんな挑発に乗った読者は,著者の術中に嵌ってしまいます.本文中に羅列してある数式を眺めただけで,すぐさま読む気がなくなるのです.そこで,降参して,どんなに嘘が書いてあったとしても,この論文を認めて,著者の主張を自動的に受け入れてしまうというわけです.
こうして論文は嘘をつくという見本を自ら示しているわけです.その意味で,所期の目的を見事に達成している優れた論文と言えるでしょう.