呼吸器使用のトリアージ
「多男子則多懼、富則多事、寿則多辱。是三者、非所以養徳也」(
荘子 天地
)
「命長ければ辱多し。長くとも、四十に足らぬほどにて死なんこそ、めやすかるべけれ」(
徒然草 第七段
)
私も,もう立派な高齢者だから,COVID-19による死は決して他人事ではない.おかげで,
死に行く者の当事者意識
を改めて自覚できた.
等と殊勝なことを言っておけば,このご時世,どんちゃん騒ぎをしている連中の癇に障らずに平穏に過ごせるというものだ.馬鹿は放っておくに限る.
『シルバーデモクラシー,具体的には定年退職後も特任教授で
のんびり有給隠居
活躍なさる先生方に対する警告.それがSARS-CoV-2からの本質的なメッセージである』『COVID-19は終活を始める絶好のチャンス』
なあんて,口が裂けても言って
はならない
るって!
産経だけですね。実名出しているのは。こういう点は産経を評価したい。
藤井睦子先生,多くの医師はあなたに感謝していますよ
。
こういう問題提起は,あなたのような立場にある方こそがやってこそ意味がある。
ムショ勤めの爺医
がどんなに喚いたところでどうにもならない。
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高齢者「入院の優先順位下げる」 大阪府幹部が保健所にメール のちに撤回
(産経新聞 2021.4.30)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い医療体制の逼迫(ひっぱく)が深刻化している大阪府で、入院調整を担う幹部職員の医療監が高齢者について「入院の優先順位を下げざるを得ない」とするメールを19日に府内の全18保健所に送信していたことが30日、府への取材でわかった。医療監は同日、記者団に「不適切な表現があった。非常に反省している」とコメント。府健康医療部は「府の方針とは全く異なる」として、29日に医療監を口頭で注意し、各保健所に撤回する旨、連絡した。
府によると、医療監は医師資格を持つ医療系技術職のトップで、「入院調整依頼に関するお願い」と題するメールを19日夜に各保健所長に送った。
文面には「当面の方針として、少ない病床を有効に利用するためにも年齢が高い方については入院の優先順位を下げざるを得ない」と記載。心停止などの際に蘇生(そせい)措置拒否(DNAR)の意思を示す高齢者施設の入所者については「看取りも含めて対応をご検討いただきたい」とした。
府は65歳以上の感染者について、無症状や軽症でなければ原則入院とし、蘇生措置拒否の意思を示す患者も病床に余裕がある場合は入院措置を取っている。
府内では13日以降、入院中の重症者が確保病床を上回る状況が続き、一部の重症者は軽症・中等症病床で治療を受けている。19日の病床使用率は重症向けが97・6%、軽症・中等症向けが79・1%だった。
藤井睦子健康医療部長は30日、取材に「府の方針と全く異なり、高齢を理由に入院の優先順位を下げることは一切ない。高齢者施設での対応力を上げてもらいたいという趣旨だった」と釈明。「誤解を招く表現が含まれており、おわびしたい」と述べた。
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若い世代の切り捨て
下記は皆様御存知,宮川絢子先生へのm3の取材記事から。
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ストックホルムの介護施設での超過死亡率は前年から100%増ですが、スウェーデン全体では79%増という状況です。ただ、新型コロナでなくても、いずれは亡くなっていた方がかなり含まれていたと思うので、長期間で見ると超過死亡率は相殺されるという意見もあります。
――日本だと大騒ぎになるような数値ですね。
批判もありますが、もともとのスウェーデン人の死生観もあって、ある程度、国民は受け入れているのかなと思います。
ちょうどこの状況の中で、77歳の義父が脳出血を発症したのですが、発症以前の健康状態を知らない脳外科医が、初診医からの電話一本による説明で、「余病があるため健康状態は80歳以上」と判断し、手術の適応なしと決定されてしまいました。その判断は間違っていると抗議しましたが、義父は治療を受けることもなく、そのままこの世を去りました。こういった治療の線引きは、スウェーデンでは普段から行われていることで、運の悪い場合には、助かる命が失われることもあるのかもしれません。
治療の線引きは、日本人からすると残酷に見えるかもしれませんが、一方で、80歳以上の方に挿管してICUで治療することが本人にとっても良いのかということも考えるべきでしょう。私が治療をした患者さんも最近、新型コロナで亡くなりましたが、最期に「私はこれ以上、辛い治療を受けたくない」とはっきり言って亡くなりました。もちろん、家族に尋ねれば、本人の希望とは違った意見があることも多いと思います。
死生観も異なり、医療における意思決定に合理性を適応することが難しい日本では、スウェーデンのような治療の線引きが受け入れられることは難しいでしょう。現に、今回のパンデミックにおけるスウェーデンの治療の線引きは、日本では“姥捨山”と揶揄されています。話は少しずれますが、日本で(生活保護を受けていない)低所得者は若くて可能性があっても、経済的理由で先端医療は受けられないことがありますよね。日本の医療費の自己負担限度額は、スウェーデンに比べると非常に高額であり、また、保険適用になっていない最新の高額医療の費用を負担することは不可能です。つまり、
日本では、切り捨てられている若い世代がいるのです。果たして、日瑞、どちらが残酷であるのでしょうか。限りのある医療資源や財源をどのように分配するのか、バランスを考えなければいけないと思います
。(
スウェーデンで高齢者の死亡者数が増えた背景-カロリンスカ大学病院泌尿器外科・宮川絢子氏に聞く◆Vol.2
より抜粋)
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島薗 進 コロナ禍での医療資源配分をめぐる問い―人工呼吸器の配分とトリアージ
(2020/8/7)
齊尾武郎 COVID-19人工呼吸器配分提言を巡って 臨床評価 2020;48:161-6
生命・医療倫理研究会 COVID-19の感染爆発時における人工呼吸器の配分を判断するプロセスについての提言(2020年3月30日)
→
我々は不完全な死体なのです
→
終活とやらについて
以下は2020年のCOVID-19パンデミック初期における海外の実情。なお,呼吸器使用トリアージ問題と深く関係する法曹者の倫理問題については,
法的リテラシー
を参考にされたい.
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迫られる“命の選択” 「誰を死なせ誰を生かすか」 苦悩するイタリア・スペイン
毎日新聞 2020年3月30日
新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないイタリアやスペインでは、事実上の医療崩壊が起きている。現場では生存する可能性がより高い患者を優先する「命の選択」を迫られている。
学会「年齢制限、必要かも」
「誰を死なせ誰を生かすべきか、私たちは決めなければならない」 米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」(NEJM)は3月18日、感染拡大が深刻なイタリア北部の病院で勤務する男性医師の苦悩を伝えた。感染者の増加が続く北部の医療現場では、回復する可能性が高い患者の治療が優先されている。人的・物的に限られた医療資源を最大限に活用するため、災害など非常事態にとられる措置だ。
重症の肺炎患者の治療には人工呼吸器が不可欠だが、必要な患者すべてに行き渡らない状態が続く。回復までに2週間以上装着が必要な例もあるなど治療の長期化も不足に拍車をかける。収容能力も限界を超えている。緊急でない手術は延期され、手術室は一時的な集中治療室として使われ、廊下や受付にも人工呼吸器をつけた患者のベッドが置かれているという。医療従事者の休養時間の確保など機能を維持するために一時休院した医療機関もある。
イタリア麻酔鎮痛集中治療学会は3月上旬、「命の選択」を迫られる現場の医師の判断を支える倫理指針を発表。集中治療を行うかどうかの判断については「最終的には年齢制限を設定する必要があるかもしれない」と盛り込んだ。 NEJMの記事は、年齢を判断基準の一つとする方針は現場で採用されており、目安を80歳から75歳に引き下げた病院もあると伝える。感染まで健康だった80歳の患者が呼吸器をつけられず死亡した例もあったという。イタリア国立衛生研究所の発表(27日現在)によると、感染者の年齢の中央値は62歳。死者のうち8割超を70歳以上が占めている。
施設に置き去り、死亡も
欧州でイタリアに次いで感染者、死者が多い隣国スペインも状況は深刻だ。首都マドリードを含むマドリード州に国内の死者の6割が集中。エル・パイス紙によると、高齢者ケア施設で感染が広がり、ロブレス国防相は23日、軍が立ち入った施設で「入居者が置き去りにされ、ベッドで死亡していた例もあった」と明らかにした。感染が発覚した後に職員が現場を立ち去っていた例もあったという。
マドリードの保健当局は「人工呼吸器の不足はない」としているが、患者の増加に医療体制が追いつかず、大型の国際展示場に感染者を収容するための「野戦病院」を開設。必要に応じて最大5500床まで拡大し、うち500床は集中治療用とする見通しだ。また、感染防止の備品不足から葬儀業者が遺体の引き取りを停止し、市内のスケートリンクが臨時の遺体安置所として使われている。
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【緊急寄稿 ⽶ミシガン発現地レポート】新型コロナ パンデミック 病院やヘルスケア施設で医療⽤品、圧倒的に不⾜
(公開日時 2020/03/25 04:51)
ミシガン州在住 ヘルスケアビジネスコンサルタント MRG Associates, Inc. 代表取締役社⻑ 森永 知美
(以下抜粋)
◎州知事「推定で⼈⼝の70%が感染、うち100万⼈が⼊院」 医療体制が崩壊する︕
ミシガン州知事のグレッチェン・ウィットマー⽒は今⽇の記者会⾒で、このままの状態でいけば推定で⼈⼝の70%(700万⼈)が感染し、そのうち100万 ⼈が⼊院することになるが、救急⽤ベッドはミシガン全体で2万5千床しかなく、事態を深刻に受け⽌め迅速に⼤々的な対策を取らなければならないと警告し た。
感染拡⼤が深刻な州はいずれも、ウイルス検査をはじめ、医療⽤マスクや⼿袋、⼈⼯呼吸器などの医療⽤品が圧倒的に不⾜しており、連邦政府からの⽀援が必要 になっている。同⽒は⼀例として、National Strategic Stockpile(公衆衛⽣の緊急事態に州や市などの要請に対して医療⽤品を供給する連邦政府組織)から、先週ある医療施設が受け取ったマスクや⼿袋、 ガウンなどの医療⽤品が、1回のシフト分でしかなかったと窮状を訴えた。
◎州同⼠で医療⽤品の取り合いも
ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモ⽒は、「もはや州同⼠で医療⽤品の取り合いになっている」とコメントしている。ドライブスルーの検査場をはじ め、ウイルス検査のシステム拡⼤が進められているが、検査を受けられるのは咳や発熱などの症状を呈する患者だけである。会⾒に同席したミシガン州保健社会 福祉局Chief Medical ExecutiveのDr. Joneigh Khaldunによると、現在の検査状況は⼀⽇あたり約1000例であり、検査キットと検査体制の確保が間に合っていないことを認めている。ちなみに筆者 の夫の同僚は家族に感染者が出たが、その同僚は症状が出ていないということで、まだ検査を受けることができていない。感染拡⼤が刻々と進むなか、州政府や 連邦政府がいつ何時新たな指針を発表するか分からないため、CNNとTwitterから⽬が離せない。次々と発表される症例報告や医療システムに関する論 ⽂を、くまなく読む毎⽇が続いている。
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【アメリカ】救命措置では医療従事者優先を−新型コロナ重症患者急増で指針
Bloomberg 2020年3月24日
医学誌に掲載された論文で倫理学者のエマニュエル氏らが指針示す
ICU・人工呼吸器の配分で重い判断を下す医療従事者の負担軽減
集中治療室(ICU)と人工呼吸器の配分は先着順にせず、回復後に患者治療に再び従事できる医療関係者への提供を優先すべきだ。救命に必要な装置が限られている場合、回復の見込みが高い方の患者に優先的に使われる必要がある。世界の医療専門家および生命倫理学者で構成するグループが23日に示した指針だ。
一部の医療機関で新型コロナウイルスの重症患者が急増する中で、公平な判断の枠組みを提供する狙いがある。医療機関や当局はICUや人工呼吸器の拡充に最善を尽くしているが、今後こうした装置の配分で厳しい決断を迫られ得る。既にそうした配分が行われている地域もある。
New England Journal of Medicineに掲載されたこの論文(Fair Allocation of Scarce Medical Resources in the Time of Covid-19)
は、重度の呼吸困難に陥る患者の急増に医療現場が追い付かない状況下で重い判断を下さなければならない医療従事者の個人的な負担を和らげる可能性がある。それは現実離れした見通しではない。米国では多くの医療専門家が、同国より約10日早く感染拡大が始まったイタリアを参考にしている。イタリアの医療体制は過度の負担であまりにも疲弊し、治療手段の配分を巡って医師は胸が張り裂けるような決断を迫られている。60歳を超える患者には人工呼吸器を提供しない事例もあるという。
この論文を執筆したペンシルベニア大学医療倫理学部の
エゼキエル・エマニュエル
らは「
回復の見込みが高い患者を救うため、先に治療を受けていた患者から人工呼吸器やICUのサポートを奪うことは医師にとって極度の心理的トラウマになることは間違いない。拒否する医師もいるかもしれない」と指摘。「ただ多くの指針は希少な医療資源を他の患者に移すという決断は殺人行為ではなく、患者の同意も必要としないことで一致している
」とした。論文によると、米国にはICU約8万5000床、人工呼吸器19万個があるが、重症患者は96万−380万人に達する可能性がある。病床や人工呼吸器を増やすことに取り組んでも、死者は8万−130万人に達する恐れがある(人口に占める感染者の割合5%、集中治療が必要な割合6%、致死率0.5%を想定した中程度のシナリオ)。
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参考資料・サイト
宮川 絢子 スウェーデンの対新型コロナウイルス政策
(日本医師会 COVID-19有識者会議)
スウェーデンで高齢者の死亡者数が増えた背景-カロリンスカ大学病院泌尿器外科・宮川絢子氏に聞く◆Vol.2
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)人工呼吸器およびECMOの使用に関する一般市民の意識調査―医療への信頼性維持と迅速な治療方針決定のため 重症時「どうなる?」への理解不足解消を―
Emanuel EJ et al. Fair Allocation of Scarce Medical Resources in the Time of Covid-19. N Engl J Med. 2020 Mar 23. doi: 10.1056/NEJMsb2005114. [Epub ahead of print]
Paul Hsieh. How Will Doctors Allocate Scarce Medical Resources During The COVID-19 Coronavirus Pandemic? (Forbes Mar 24, 2020)
Special Report: 'All is well'. In Italy, triage and lies for virus patients. (Reuters MARCH 17, 2020)
Pandemic Influenza Triage Tools: User Guide 2009
(古いので注意.新しいバージョンについては検索できていません)
Utah Pandemic Influenza Hospital and ICU Triage Guidelines 2009
(古いので注意.新しいバージョンについては検索できていません)
エゼキエル・エマニュエル
について(Wikipedia英語版)
高齢患者に「蘇生しないで」…救急隊員を困惑させた家族の訴え-75歳以上の延命は不要なのか
(木原 洋美 現代ビジネス 2019/12/29)
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新コロバブルの物語
→
法的リテラシー
→
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