イタリア版「人民の敵」
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ステロイド/LABA/LAMAの3剤併用のCOPD悪化抑制がLABA/LAMA併用に勝った Biotoday 2018/2/12
無作為化試験（TRIBUTE）の結果、吸入コルチコステロイド（ICS）ベクロメタゾン・持効性ムスカリン受容体遮断薬（LAMA）グリコピロニウム・持効性β2刺激薬（LABA）ホルモテロールの3剤吸引（BDP/FF/G）の慢性閉塞性肺疾患（COPD）悪化抑制がLAMA（グリコピロニウム）とLABA（インダカテロール）の2剤吸引（IND/GLY）を有意に上回りました。COPDの年間悪化率はBDP/FF/G群のほうがIND/GLY群より15%低いという結果が得られています（0.50/人年 vs 0.59/人年, p=0.043）。このTRIBUTE試験の3剤治療群と2剤治療群のLABAは違います。また、参加被験者のCOPDは特に重度だったようです。論評者は試験解釈の上で注意すべき点をその他にもいくつか指摘しています。
Filling the gaps in COPD: the TRIBUTE study. Published: 08 February 2018
Extrafine inhaled triple therapy versus dual bronchodilator therapy in chronic obstructive pulmonary disease (TRIBUTE): a double-blind, parallel group, randomised controlled trial. Lancet. Published: 08 February 2018
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典型的なsignificantosisもさることながら、そもそもデザインからして狂っている。ベクロメタゾン上乗せ効果なのか、インダカテロールに対するホルモテロールの優越性なのかが、わからない。こういう論文を平然と掲載するところが、いかにもランセットらしい。そこまでだったら、敢えてこの記事を紹介したりはしない。この試験のスポンサーであるChiesi Farmaceuticiというイタリアの製薬企業のこれまでの行状は、あの、Public Enemy No.1 の名を欲しいままにしたMartin Shkreliを彷彿させるものがあるからだ。
The Italian pharmaceutical company Chiesi has increased the price on its product, Peyona, by 4000 % after being granted patent protection on the drug by the European Union. This means the company has a monopoly on its production in all 28 Member States. The drug is used to help premature babies breathe.(CHIESI DISMISSES CRITICISM OVER INCREASED DRUG PRICES. Reporting the EU – Fall 2016)
WHOのessential drugsにもなっている古典的なトキソプラズマ症の治療薬であるピリメサミン（商品名ダラプリム）の製造権を、シュクレリが獲得し価格を吊り上げた時は、1錠13.5ドルから750ドルだから56倍だったから、40倍という数字だけ見ればやや見劣りがするように見える。しかし、ただ同然の原価であるカフェインの20mg/mlのアンプルに2600円（17.25ポンド）もの値段をつけ、しかも対象が未熟児無呼吸発作という、非常に緊急性の高い疾患なわけだから、シュクレリに勝るとも劣らないのがこのChiesiという会社であり、それを承知でこんな論文を載せるとは、ランセットなんかもう死んだと思ったいたら、とんでもない。今や人民の敵を賞賛するゾンビとなって墓場から蘇ったというわけだ。
ちなみに日本では、日本未熟児新生児学会や患者団体からカフェイン製剤の早期承認が要望され、2010年「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」にて高い評価を得たことから開発がなされ、2014年3月24日、未熟児無呼吸発作治療薬無水カフェイン（商品名レスピア静注・経口液60mg）の製造販売が承認された。レスピアは60mg/3mlで810円だから、20mg/mlに換算すると270円！！
参考→「米国で最も憎まれた男」が犯した本当の罪は何なのか (Forbes 2018/03/13)
→人民の敵は鼠小僧だった？
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