佐久間 昭先生の命名した病気だが,彼が発見したわけではない.病気自体は,病名がつけられるはるか以前から,非常によく知られていた.
P値が0.05を前後することに一喜一憂する軽症型から,会社の命運がかかると考える重症型まで,その重症度は様々である.最重症型は星印がないのに,あるように見えてしまう幻覚症状,すなわちデータの捏造である.病期は非臨床の段階から臨床試験のフェーズが進むにつれて進行する.
臨床的な意味がまったく見えなくなってしまう病態失認症状を必ず合併している.
ある一つの品目について,この病気は会社内で簡単に蔓延するが,会社が違うと感受性が全くなくなり,決して感染しない.
統計学は,この病気を何とかコントロールしようとして,編み出された治療法なのだが,悲しいかな,治療域が非常に狭くて,しばしば,誤った統計学依存がこの病気をますます悪化させてしまう.
薬の有効性を判断する上で,有意差の星印は,あくまで必要条件の一つに過ぎない(時には必要条件でさえないこともある)ことを心得ているだけで,この病気にはならないはずなのだが,一旦感染すると,治療は難渋を極める.今日もあちこちで集団感染が勃発している.
類縁疾患として,プラセボ恐怖症,全般改善度病がある.