行動障害ケアへの保険適用

たまたま、精神的健康、薬物乱用など行動障害ケア施設のアカディア・ヘルスケア という記事が目に止まった。同社は全米24州で78の行動障害ケア施設を運営しており、総ベッド数は5,800です。また英国、プエルトリコでも事業展開しているとある。その診療報酬がどこに請求されているかを示したのが下記の図(上記広瀬氏のサイトから引用)である。


対 象疾患は薬物依存、アルコール依存が多いだろうから、メディケイドの比率が一番高く38%というのは、わかる。しかし、メディケアがその半分の19%にも なるというのは、日本人である私の感覚からは予想外だった。英国での事業展開が15%も占めるとは、さらに予想外だった。

米英の人口比(5:1)を考えただけでも、この15%というのは、米国に本拠を置く企業としては異常に高い数値であることがすぐわかる。仮に米英で一人あたりの診療報酬単価が同じとすれば、英国では米国とほぼ同様の密度で事業展開していることになるではないか。

でも、一番驚いたのは、この種のケアが米国でも英国でも保険(米国では公的保険ばかりでなくプライベートでも)でカバーされ、それが株式会社の商売として成り立ち、好決算で株価が上がっているという事実だ。(アル中、ヤク中毒患者が溢れるアメリカならではの銘柄、アカディア・ヘルスケアが好決算を発表

禁 煙治療が保険適用を勝ち取るまで、随分と時間がかかったものだ。日本であれば、もしこれを本気でやろうとすると、「俺は、アル中、ヤク中の奴らなんかに金 を恵んでやるほど金持ちじゃねえ!」って声が巻き起こることを恐れて、そもそも誰も提案しないし、もし提案が出たとしても中医協の先生方はなかなか認めな いだろう。何しろ神経学的診察に検査料をつけてもらうんだって、何十年もかかったのだから。

一方で、有効性がプラセボと非劣性が証明された薬が売り上げベストテンに入ったり、コレステロールを下げるだけで年間200万円近くも払わなくちゃならない薬がFDAに承認されたり、まあ、大変な時代になったものです。

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