PIVKA-II |
本来、プロトロンビン(凝固第II因子)となるべき蛋白質が、γ-カルボキラーゼによるグルタミン酸残基のγ-カルボキシグルタミン酸残基(Gla)への変換が不十分なまま産生・放出された蛋白質です。γ-カルボキラーゼによるグルタミン酸残基のGla残基への変換にはビタミンKが補酵素として必須であるので、ビタミンKが欠乏している時にこの未熟な蛋白質が産生されます。このようなビタミンK欠乏状態に賛成される蛋白質を包括的にprotein induced by Vitamin K absence or antagonists(PIVKA)と呼び、その後に本来成熟蛋白質として産生される凝固因子の番号(もしくは略号)をつけます。したがってPIVKA-IIとは本来、プロトロンビン(凝固第II因子)となるべき蛋白質が未熟な状態で血液中に放出された蛋白質です。
ビタミンK欠乏状態以外でも、肝がん細胞の一部はプロトロンビン産性能は保たれているのの、ビタミンK2と関係なくγ-カルボキラーゼ活性が低下し、Gla残基が少ないプロトロンビン=PIVKA-IIが産生されます。このためPIVKA-IIは一部の肝細胞癌の腫瘍マーカーとして使用されていますが、ワルファリン服用中やビタミンK欠乏状態では、PIVKA-IIは異常高値を示し腫瘍マーカーとしては使用できません。
なお凝固因子をローマ数字(I, II, IIIなど)で表さず、アラビア数字(1, 2, 3など)で表す人がいますが、このルールでは、例えばPIVKA-IIをPIVKA-2と表すことになりますので、アラビア数字で表すのは誤った方法です。
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