新生児ビタミンK欠乏性出血症
【新生児ビタミンK欠乏性出血症とは】
出生後7日以内に起きるビタミンK欠乏に基づく出血性疾患です。出血斑や注射・採 血など皮膚穿刺部位の止血困難、吐血、下血が認められますが、頭蓋内出血など致命的な出血を呈する場合もあります。特に第 2~4 生日に起こることが多いものの出生後 24 時間以内に発症することもあります(early onset form)。合併症をもつ新生児やビタミンK吸収障害をもつ母親から生まれた新生児、妊娠中にワルファリンや抗てんかん薬などの薬剤を服用していた母親から生まれた新生児では、このearly onset formを呈することがあります。新生児でビタミンK欠乏状態に陥るのは、ビタミンKは経胎盤移行性が悪いため、出生時の生体内の蓄積量が元々少ないうえ、腸内細菌叢が十分には形成されていないことが理由として考えられます。また母乳中のビタミンK含量が少ないことも発症要因の一つです。ビタミンK欠乏性出血症の予防のために、現在では出生直後および生後1週間(産科退院時)ならびに生後1か月の3回、ビタミンK2シロップ1mL(2mg) をすべての合併症のない成熟新生児に投与する方式が普及しています。