「非定型抗酸菌」について

移植後の免疫抑制剤内服中には、非定型抗酸菌にかかりやすくなります。
非定型抗酸菌とは、結核菌と同じ種類の菌でありながら、性質上、結核ではないとされた菌の総称です。現在数十種類が知られています。そのうちの十数種類が病原性を持ちます。人からの感染はありません。
汚染された土壌や水が、手にある小さい傷などから体内に入ることによって感染します。家庭菜園などをされる方は、手袋をして土壌を触るようにしてください。特に手に傷のある時は気を付けてください。最近多いのは、熱帯魚を飼っている方が、水槽の掃除をしている際に感染することです。感染した海水魚から水槽の中の水や水槽の内面に菌が付着します。
そして、水槽を洗浄するときに、手にある小さな傷から菌が侵入し、約2週間の潜伏期間の後に膿を包んだ腫瘤(膿疱)や発疹、また膿疱が破れると潰瘍が形成されます。熱帯魚を飼育している方は、水槽を洗う際にゴム手袋を付けるようにしてください。

名古屋第二赤十字病院 移植外科 打田和治
移植コーディネーター 山上孝子