大会委員長挨拶
第39回日本保健医療社会学会大会のご挨拶
大会長:小澤 温(筑波大学人間系・教授)
2013年5月18日(土)、19日(日)に、東洋大学朝霞キャンパスにおいて第39回日本保健医療社会学会大会を開催いたします。今回は、筑波大学と東洋大学の共催での開催で実施し、事務局を筑波大学・東京キャンパスに置き、開催校を東洋大学・朝霞キャンパスとすることにしました。事務局と開催校とが異なる変則的な開催となる点でご了解ください。
今回は、メインテーマを「『障害』と『支援』をどう考えるのか」としました。2009年の政権交代から始まった一連の障害者政策に関する見直し・検討は、「障害」の概念定義に関する長年の論点だった「医学モデル」と「社会モデル」の視点を、国政のレベルで改めて問い直すことになりました。特に、2013年から施行される「障害者総合支援法」では、難病を、障害の対象に含めることにしていますが、(治療および医療的ケアの必要性の高い)難病患者を、(福祉サービスの必要性の高い)障害者として位置づけることは、実務的にも、理論的にも大きな課題があると思われます。このような時代的な状況をふまえて、本学会において、これまであまり取り上げられてこなかった「医学モデル」と「社会モデル」に関する議論を、今大会では保健医療社会学の課題として大いに深めていきたいと考えています。また、「障害」の概念定義の問題だけでなく、近年、主に社会福祉分野(障害、低所得、高齢、さらには、災害からの復興などの各領域)で強調されている「自立」と「支援」に関わる課題も、「障害」の問題を糸口にしながら、あわせて深めていきたいと思っています。
メインテーマに関連して、1日目の基調講演では、佐藤久夫氏(日本社会事業大学教授・内閣府障害者政策委員会委員)による「障害の定義と障害者政策を考える」(仮題)、星加良司氏(東京大学教育学研究科講師)による「社会学からみた障害の概念」(仮題)のご講演をいただきます。いずれも、わが国の障害の概念に関する研究者としては第一人者です。2日目のメインシンポジウムでは、「『障害』と『支援』を考える」と題し、大島巌氏(日本社会事業大学学長)、川内義彦氏(東洋大学ライフデザイン学部教授)、八巻知香子氏(国立がん研究センターがん対策情報センター研究員)の各氏にご登壇いただく予定です。
会場となる東洋大学・朝霞キャンパスは、都心からの電車等の交通の便がよく、1時間程度のところに位置しています。詳細な情報は今後ホームページを中心に、皆様にお知らせしていきたいと思います。第39回大会に、ぜひとも多くの皆様にご参加していただき、議論を大いに盛り上げていただけたらありがたいと思います。