第78回日本自律神経学会総会

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会長挨拶

第78回日本自律神経学会総会 会長
中村 和弘
(名古屋大学大学院医学系研究科 統合生理学)

 この度、第78回日本自律神経学会総会の会長を拝命しました中村和弘です。会期は2025年10月24日(金)、25日(土)の2日間で、JR名古屋駅前のウインクあいちで開催いたします。新幹線でも空路でも交通アクセスの便利な会場で、周辺には宿泊施設や飲食店も充実しております。レトロとモダンが同居しながら、近年大きく変貌を遂げつつある名古屋にぜひお越しください。

 今回の総会のテーマは「生命をつなぐ仕組み ― その本質を知る」とさせて頂きました。「生命」が驚異の存在であることは言を俟ちませんが、改めて考えてみますと、例えば心臓は母親のお腹の中で拍動を始めて以降、ひとときも休まずに全身の組織に血液を安定的に供給し続けます。さらに心臓に限らず、すべての臓器は環境に応じてダイナミックに適応変化しながらも、ヒトの場合80年以上にもわたって自律的に機能し続けます。人工的な機械で部品を取り替えずにこれほど長く機能し続けるものはありません。また、「生命」は個体の一生をつなぐに終わらず、子孫へと受け継がれ、何十億年にもわたって進化しながら、現在を生きる私達につながっています。そして自律神経は、この神秘的な「生命」をつなぐメカニズムの根幹を担っています。しかし、私達はまだ、そのメカニズムの本質を十分に理解できているとは言えません。

 自律神経は「生命」をつなぐあらゆる臓器機能に関わりますが、ときに「生命」をつなぐことを困難にする様々な疾患にも自律神経は深く関わります。したがって、自律神経学は基礎生命科学と臨床医学にまたがる広い学問領域です。そして近年は、心身相関や社会ストレスなどの重要テーマを通じて心理学や哲学などの人文・社会科学とも連携が深まりつつあります。また、自律神経学は一般市民に身近な健康科学や産業との関連が深く、社会的関心が年々高まってきています。そのような盛り上がりの中で、本学会の総会は将来の自律神経学の発展の礎となる新たな研究課題の創造・発見の場としての役割がますます期待されています。

 今回の総会では、臨床系の副会長として名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学の勝野雅央教授をお迎えし、本学会の特長である基礎と臨床の調和を活かしたセッションを企画するとともに、自律神経学に関わるすべての研究者がそれぞれの専門の立場から幅広いトピックスについて本質的なディスカッションができるプログラムを企画したいと考えております。自律神経学、ひいては「生命」の学問の面白さと深さを感じることができる総会になるよう、鋭意取り組んでまいります。幅広い分野から多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

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