会長挨拶
第6回日本喘息学会総会学術大会
会長 横山 彰仁
松山市民病院呼吸器・アレルギーセンター長
高知大学名誉教授
日本喘息学会第6回学術大会は2025年8月9日(土)10日(日)の両日、四国は松山市のANAクラウンプラザホテルにて開催させて頂く予定です。本会の四国での開催はもちろん初めてで、現在、実りある学会とするべく鋭意準備を進めているところです。本会は2019年に設立された新しい学会ですが、すでに会員数は千名に達しようとしています。本邦の喘息医療の底上げを目指し、2021年から発表している一般医に向けた『喘息診療実践ガイドライン』(Practical Guidelines for Asthma Management:PGAM)は好評で、広く利用されています。また、日本専門医機構の認定を目指すものではありませんが、広く国民に役立つ制度としての喘息専門医制度も確立し、今年度には第2回の認定試験が実施される予定です。さらに学会認定「吸入エキスパート」制度も確立し、本年すでに第一回認定試験が実施され、近々初めての認定エキスパートが誕生することとなっています。
さて、そのような学会の学術大会ですが、今回のテーマは「気管支喘息の全人的医療を目指して」といたしました。現在の内科学は臓器別に学問が進展しており、各臓器のなかでも診療も研究もさらに狭く専門的になっています。この点で、地域のニーズと医師を育成する大病院とのミスマッチが大きな問題になっています。気管支喘息という単一の病気を扱う場合にも、アレルギー学や呼吸器病学のみならず広範な内科学を基礎として「病気を診るのではなく人を診る」必要があります。特に気管支喘息患者では非常に多彩な併存症・合併症があり、これらはtreatable traitsとも捉えられ、適切な治療がなされていないと喘息そのものの病態にも影響します。
本学術集会では全人的医療の観点から、教育講演、シンポジウムを計画し、呼吸器以外の他領域の最新の知識も得られる学会にしたいと願っています。また、吸入療法エキスパートが初認定されるわけですが、半数が医師以外と聞いています。吸入エキスパートのスキルをあげてゆくにふさわしいシンポジウムも計画しています。また市民公開講座も組み入れて広く地域市民への啓発活動も計画しています。
今回の開催形式は、四国開催であることから多忙の会員の皆様に配慮し、また重複したプログラムも後日視聴できるように、同時配信はできませんが、ハイブリッド形式といたします。松山は四国で最大の都市で、「坂の上の雲」の秋山兄弟のふるさとであり、日本最古の温泉のひとつで万葉集にもその名がある道後温泉、現存天守を持つ松山城などの観光地もあります。夏休み期間の3連休中でもあり、併せて是非観光にお出かけくだされば幸いです。ハイブリッド開催とはいえ、活発な討議のため、是非とも多くの先生方に現地参加していただけますよう、この場をお借りしてお願い申し上げます。