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~糖尿病とともに歩むあなたの声が聞きたい~ とちぎヤングの会

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獨協医科大学内分泌代謝内科医局内

1型糖尿病に関するさまざまな話題HOT NEWS



インスリンポンプ療法

インスリンポンプ療法についてご紹介しましょう。

【インスリンポンプ療法とは?】
1型糖尿病の患者さんは、1日3~4回インスリン注射をしていることが多いと思います。
1日効く持効型インスリンを1~2回/ 日注射し、ご飯を食べるときに超速効型(速効型)インスリンを打っています。(図1)

図1


【インスリンポンプ療法とは】
携帯型でインスリンを注入することのできるポンプ(図2)を用いてインスリンを持続的に体内に注入する治療法です。インスリンポンプ療法は現在進化し続けています。 その各々についてお話していきましょう。

①インスリンポンプ療法
図2の機械のなかの小さな注射器にインスリンをいれてセットします。 そこからチューブをとおして、針(ビニール製の柔らかく細いもの)が皮下に入っており、この通路を通じて、持続的に体内にインスリンが入ってきます 。

図2


このインスリンの注入方法ですが、時間ごとに体内に入るインスリン量を医療者があらかじめポンプに設定してあります。そのプログラム通りに、自動的にインスリンが注入されます。 食事の時には自分でボタンを押して追加のインスリンを注入します(針を毎回刺す必要はありません)。 2~3日に1回このセットを自分で交換します。
基礎インスリンは持効型インスリンのペン型注入では、生理的な(正常な)基礎インスリン分泌状態に近い補充を行うのは難しいことですが、インスリンポンプ療法では、1時間毎に入るインスリンの量を変更することができるため(図3)、正常のインスリン分泌パターンに近づけることが可能です。
また、食事の際の追加インスリンを注入する際も針を刺さなくてよいことが利点です。

図3


②インスリンポンプ療法 SAP
図4は、SAP療法とよんでいるもので、センサー連動型のポンプ療法です。 腹部にポンプと血糖値の参考値をリアルタイムで測れるセンサー(CGM)も取り付けます。 センサーからは血糖のデータがポンプに送信されて、ポンプと連動します。 ポンプのディスプレイには、5分毎の血糖値がポンプに表示されます。

図4


Medtronic リーフレットより

SAP療法では、ポンプに図5のように、現在のだいたいの血糖値、数時間の血糖の変動がグラフで表示され、見てわかりやすくなっています。血糖値がこれから上がっていくのか、さがっていくのかが見てわかるため、それに対する行動をとりやすくなります。

図5


また、低血糖を予想すると、その間、自動でポンプが止まる機能もあり、低血糖を避けることができます。 低血糖で悩んでいる方にはとても良い機能です。あらかじめ自分で設定しておくと高血糖時・低血糖時にアラートがなります。

②ー1 インスリンポンプ療法 SAP オートモード
SAP療法が進化したのが、ポンプのオートモードです。
オートモードとは、血糖値が120mg/dl になるように自動でポンプが判断してインスリンの注入量を調整してくれるシステムです。5分に1回、現在の血糖値にあわせてインスリンを少しずつ注入し、この少しずつ注入されるインスリンが基礎インスリンになります(医療者があらかじめ設定した基礎ではなく、自動でインスリン注入量を調整して注入します)。そのため、現在の血糖値に応じた基礎インスリンがはいります。 血糖値が高いときには多くはいり、低いときにはインスリンが入らないようになっており、一日の血糖の変動がとても少なくなりました。図6に、基礎分泌のイメージをお示しします。ピンクが基礎分泌ですが、血糖値(上の折れ線グラフ)が下がると少なくなってとまるときもあり、血糖値が上昇してくるとできるだけたくさん注入されていることがわかります。

図6

このように、血糖値に応じてインスリン量を自動調整する仕組みは、クローズドループと呼ばれています。ただし、食事に追加するインスリンの投与(ボーラス)は、手動のため、「組み合わせられた」という意味で、ハイブリッドクローズドループ(HCL)と呼ばれています。

②ー2 インスリンポンプ療法 SAP スマートモード
2024年2月からオートモードのさらに進化した形のスマートモードが使用できるようになりました。
オートモードは血糖値に応じて基礎のインスリンを増やしたり、減らしたりすることができますが、血糖値がかなり上がってしまうと、一生懸命増やしている基礎インスリンでは太刀打ちできなくなってしまうことがあります。(高血糖の持続)こういったときに、ボーラス(インスリンの追加)も自動で入れてくれるシステムをスマートモードといいます。オートモードのインスリン基礎注入増加で目標値の120mg/dlにならない場合、自動で、追加のインスリンが注入されます。(図7)

図7

このシステムにより、さらに、血糖値が安定化しています。
この自動補正は、①センサーグルコース値が120㎎/dlを超えている ②オート基礎注入が最大になっている ③一時目標を使用していない ④過去データによるシュミレーションによりシステムが必要と判断した時 この4つの条件をすべて満たすとき、自動でインスリンが注入されます(補正インスリンの注入)。 この自動補正機能(自動ボーラス)の追加により、従来の基礎インスリン自動調整だけでは対応の難しかった一時的な高血糖や食後高血糖に対応することが可能となり、よりなだらかな血糖調整が可能となっています。

③ ポンプ療法への変更時考えること
テクノロジーの進歩により、ポンプ療法によって血糖値の上下を少なくした良好な血糖カーブを得ることができるようになってきました。車の運転でいうと、SAPはナビゲーション、オートモードやスマートモードは自動運転に例えられます。

ただし、SAP療法オートモードやスマートモードを使うためには、食事の時のボーラスは、ポンプに今から食べる炭水化物量(カーボ)を入れ込む必要がありますので、カーボカウントを覚えることが必要になります。

また何らかの理由でポンプのインスリン注入が停止した場合(皮膚に穿刺しているカニューレのつまりや折まがりなど)ケトアシドーシスといった危険な状態に陥る可能性があります。トラブルへの対処法を普段から学んでいることが大切になります。

医療費の面も考慮が必要です。(4回注射療法+リブレからポンプ療法への変更で約1万円、ポンプ療法からSAPオートモードへの変更で約1万円程度医療費が多くなります。スマートモードはSAPオートモードと同じです。)

参考文献:
月刊 さかえ 2023.Vol63 No.7
Medtronic homepage
Medtronic リーフレット
 
                            千葉 泰子 (長﨑病院)

血糖コントロールの最新情報

①持続血糖モニタリング(CGM)は、フリースタイルリブレやデクスコム G 4,6などを使っておられ iPhone などと連携している方が多いと思います。主治医のパソコンで何時でもデータの共有ができる点で画期的です。日本で薬事承認済みで発売が待たれるリブレ2、さらには海外では小型化されたリブレ3も出ています。待ち遠しいですね。CGMではないのですが、血糖測定器などにインスリン注射量を転送するスマートペンも発売されており、血糖変動とインスリンを一緒に比較できるようになりました。

②インスリンポンプも進化しています。日本ではメドトロニックの独壇場ですが、最新の770Gのオートモードではベーサルインスリンを増量することにより血糖上昇を抑える機能が追加されています。 アメリカでは780G(日本未発売)が最近リリースされ、オートモードではボーラスインスリンを自動で増量することで高血糖をより強力に是正出来るとのことです。またセンサーがガーディアン4になり血糖測定による較正が不要となり、770Gの血糖エラーによるオートモード中断が減ることが期待されます。

③インスリンなど注射製剤もどんどん進化しています。より速やかに効果を発現し速やかに効果が消失する超速効型インスリンが発売されており、また1週間に1回の注射で良い持効型インスリンの治験も進んでいます。GLP-1+GIPの週1回注射製剤も近々発売され、より強力な体重減少および血糖改善効果が期待されています(2型糖尿病が対象)。 多くの注射薬の使い分けが必要ですね。

④ 膵臓移植やランゲルハンス島移植も海外では積極的に行われています。日本ではまだ普及はしていないのですが、臓器提供ドナーが増えればチャンスがあります。 ここからは、まだ現実には臨床応用されていないものに関する話題です。

⑤iPSやhESCなどの多能性幹細胞も糖尿病完治に向けて研究が進められています。後者は米国で第1/2相試験が行われています。iPS 細胞は、日本が中心となり製薬会社なども加わり精力的に研究を行っていますので期待が持てます。

⑥1型糖尿病は免疫異常やウイルス感染によって起こることがあります。発症を未然に予防したり進行を食い止めたりする薬剤についても様々な研究が行われています。

⑦スマートインスリン(GRI)をご存知でしょうか。血糖値の変化に自動的に反応する次世代のインスリンです。スマートインスリン細胞や血糖応答性高分子カプセルやパッチにGRIインスリンを埋め込んで体内に血糖応答性にインスリンを放出します。 糖尿病の完治を目標に多くの研究が行われています。日々の治療をしっかり行いながら、今後の治療法の発展にご期待ください。                          

                       大橋 博(小山イーストクリニック)

持続血糖モニタリングについて

糖尿病の療養生活において、特に血糖変動の幅が大きな1型糖尿病においては、自分の血糖値をモニタリングすることは大変重要です。

これ迄は、自己血糖測定(self-monitoring of blood glucose; SMBG)として、穿刺針を用い自分で皮膚に針を刺して血液を出し、直接血糖値を測定する方法が主流でした。この方法は、正確に血糖値を測定出来ますが、痛みや感染のリスクが有りました。また、測定された結果は不連続な「点」のデータであり、見える化出来ない血糖変動が有ることが問題でした。  2003年頃から日本でも使用できるようになった持続血糖モニター(continuous glucose monitoring; CGM)により、24時間の血糖値を連続して、あるいは間歇的にモニタリングすることが可能となり、特に1型糖尿病の治療には必要不可欠なものとなっています。

CGMは、プロフェッショナルCGMとパーソナルCGMの2つに大きく分けることが出来ます。プロフェッショナルは、2週間の期間限定でセンサーを装着し、装着後に医療機関で読み取り解析を行うものです。パーソナルCGMは、日常生活で継続してセンサーを装着しながら、自分自身で何時でも簡単に血糖値を確認出来るものです。

ここではパーソナルCGMについて、詳しく話を進めていきます。
パーソナルCGMには、間歇的に血糖値をスキャンするものと(intermittently scanned CGM; isCGM)、リアルタイムでスキャンするもの(real time CGM; rtCGM)、とがあります。rtCGMには、インスリンポンプと連動するタイプのものもあります(sensor augmented pump; SAP)(表1)。それぞれの機種について、その特徴や詳細は主治医にお聞きになって下さい。



パーソナルCGMに共通している点は、
①上腕や腹部にセンサーを装着し(1から2週間程度での定期的な交換が必要です)
②センサーにリーダーをかざしたり、モニターを見ることで、簡単に現在の血糖値を知ることが出来る
③点ではなく連続した血糖値の情報を得ることが出来る
などです。

これ迄、CGMは「血糖値」を測定出来る、と述べて来ましたが、実は正確には「血糖値」ではありません。正確には「皮下組織液中のグルコース濃度」を測定していますので、どうしても血糖値とは若干の誤差が出ます(図1)。その他に、パーソナルCGMのデメリットとして、感染やスキントラブルのリスクが有ります。



パーソナルCGMで解ることは、その時の血糖値(皮下組織液中のグルコース濃度)ですが、そのデータを見るための解りやすいレポート(Ambulatory Glucose Profile;AGPといいます)、があります(図2)。このグラフを見ると、1日の血糖値の傾向、トレンドが一目で判ります。さらに、低血糖の有無や食後の血糖スパイクなども判ります。これらのデータから、基礎インスリン量やボーラスインスリン量を調整することが出来ます。また、CGMで得られたデータから算出される指標として、グルコース濃度が目標値に入っている時間を示すTime in Range(TIR)があります。このTIRは、目標グルコース濃度を 70-180mg/dlに設定した場合は、1型糖尿病患者で70%以上が治療目標値と考えられています(図3グリーン部分に相当します)。血糖変動の影響まで考慮した指標であるTIRが、ヘモグロビンA1cとともに、これからの治療目標値になっていくだろうとも考えられています。






この分野は進歩が速く、新しい機器が次々に登場しています。詳しくは説明しませんでしたが、スマートフォンとの連動や遠隔モニタリング機能、各種のアラート機能やオートモード(SAPでのインスリン自動調節機能)など便利な機能を備えている機種があります。 CGMが1型糖尿病患者さんにとり、治療上重要なツールであることをご説明致しました。費用を含めて実際的なところは、主治医に直接ご相談されることをお勧め致します。

                  藤田 延也(ふじた糖尿病内分泌内科クリニック)


将来、妊娠出産はできますか?

できます。

現在、1型糖尿病のママはたくさんいます。
1型糖尿病でない人と同じように、子育てを楽しんでいます。

1型糖尿病であるからといって、妊娠や出産をためらう必要はありません。
1型糖尿病でない人と、同じように、妊娠や出産をすることができるのです。

それでは、赤ちゃんを迎えるために、その準備についてお話しして参りましょう。
少し難しい話になるかもしれませんが、かわいい赤ちゃんに会うために、ぜひお付き合い下さい。

あかちゃんの体は、妊娠4週目からつくられ始めます。
妊婦さんが自分が妊娠したと分かるのは、4〜5週目ですから、妊娠したと分かった時点で赤ちゃんの体はつくられ始めているということになります。
このときに妊婦さんの血糖値が高い場合は、赤ちゃんの体が正常につくられないことがあり、心配になります。
そこで、あらかじめ(妊娠前から)、血糖値は良い血糖値にしておいて妊娠をすることが大切です。(これを計画妊娠といいます。)
妊娠を希望されたときには、ぜひ主治医に相談して下さい。




それでは、どのくらいの血糖値であれば妊娠可能なのでしょう?

低血糖をできるだけ起こさず、可能な限り正常に近い血糖コントロールを維持する事が大切といわれています。HbA1c6.5%未満を目標にしましょう。
                        

なぜ、妊娠の前に血糖値を正常に近いコントロールにすることが必要なのでしょうか?
それは、元気な赤ちゃんに会うためです。

妊婦さんが高血糖のままいますと、赤ちゃんに影響が及びます。
妊婦さんが妊娠したことを知るのは、妊娠4週〜5週してからが多いです。
妊娠したことを知ってから血糖値を良くしようとしても4週~5週間過ぎてしまっています。
この時期、すでに赤ちゃんの体は、着々とつくられ始めています。

この時期の血糖値をよくすることで、重症形態異常(骨の先天異常や大血管の異常、心臓の異常)の合併が減少致します。

糖尿病でない妊婦さんから生まれる 赤ちゃんの形態異常に比し、 糖尿病妊婦さんから生まれる赤ちゃんは、その危険率が2.3倍高くなり、 HbA1c8.7%以上では高率になるといわれています。 つまり、健康な赤ちゃんの誕生を望むときには、妊娠前に血糖値を正常近くまでコントロールすることが大切になるのです。

妊娠を考えたときに、 血糖値を良くコントロールして(目標のHbA1cは6.5%未満) 妊娠に対して準備することが大切です。(これを計画妊娠といいます。)

ぜひ、主治医にご相談下さい。






妊娠中の自分の体も健やかに
お腹に赤ちゃんがいるときには、いつもよりも、より、血糖値に気を配ることが大切です。

血糖値を良くすることは、赤ちゃんの体だけでなく、自分の体も守ります。
二人を守ってくれるのです。
かけがえのない命を大切にしたいですね。

妊娠中は、血糖値が妊娠前より高くなりやすくなります。
これは、胎盤から出るホルモンがインスリンのはたらきをおさえてしまうからです。
そのため、血糖をコントロールするために使用するインスリン量は、 増やしていく必要があります。

それから、妊娠の準備として、
目は大丈夫?(網膜症の有無)
腎臓は大丈夫?(腎症の有無)を調べておきましょう。



もしも異常があれば、それらに対する治療が先になるかもしれませんし、 眼科の先生、腎臓内科の先生、産科の先生など、 いろいろな先生との連携が必要になるかもしれません。

また、今、網膜症や腎症のある方は、妊娠前に主治医に相談しましょう。 まずは、自分の体です。コンディションを整えておくことが大切です。

妊娠をするのにあたって、大切なことをお話し致しました。
今度はちょっと突っ込んで、専門的なお話をしていきましょう。


血糖値が高いままの妊娠の場合に心配なこと

妊婦さん ①糖尿病合併症
 血糖コントロールの悪化 網膜症や腎症の発症や進展
 糖尿病性ケトアシドーシス
②産科的合併症
 流産 早産 妊娠高血圧症候群 羊水過多 巨大児による難産
赤ちゃん ①胎児・新生児合併症
 先天異常(形態異常)胎児死亡 巨大児 発育不全
 低血糖 新生児高ビリルビン血症 新生児低カルシウム血症
 新生児呼吸窮迫症候群  新生児多血症 肥大型心筋症
②成長期合併症  
 糖尿病 肥満


妊娠するとインスリンの必要量が増し、非妊娠時より糖尿病性ケトアシドーシスに陥りやすくなります。この状態は赤ちゃんにも影響を及ぼします。また、妊娠中期に血糖値が高値ですと赤ちゃん体の中でインスリンが多くなり、赤ちゃんが巨大児になったり、ビリルビンやカルシウムなどに異常が出たりして、良くない状況になる可能性があります。

妊娠中の血糖コントロール目標値

空腹時血糖値 95mg/dl未満
食後血糖値 1時間値 140mg/dl未満 または  
2時間値 120mg/dl未満
HbA1c 6.0~6.5%未満


自己血糖モニタリング法

自己血糖測定として、従来の自己血糖測定器を用いて食前食後の血糖値を測定する方法があります。糖尿病合併妊娠の場合、自己血糖測定器による血糖測定時間は、早朝空腹時と各食後2時間を測定するといいでしょう。

最近、持続血糖測定モニターも広く使われるようになっています。これはセンサーを体につけて、モニターで一日の血糖の動きが観察できる器械です。夜間の血糖値も食後の血糖値も観察することができます。


妊娠中のインスリン療法

妊娠を予定している場合には、原則糖尿病の飲み薬は中止して、インスリンのみで治療を行います。

インスリン製剤は重要です。
患者さんによっては製剤の変更で、コントロールに影響が出てしまうからです。
妊娠中のインスリンは、大規模試験の結果を受けて、 超速効型のインスリンリスプロ(ヒューマログ®) インスリンアスパルト(ノボラピッド®)持効型溶解インスリンデテミル(レベミル®)が一般的に使用されています。妊娠を踏まえた薬剤変更は、早めにしておくことをお勧めします。

良好な血糖管理を行うためには、基礎・追加インスリンを補うインスリン強化療法を行います。この方法には、1日に何回かインスリンを注射する頻回注射法とインスリン持続皮下投与法のポンプ療法があります。
最近では、CGM(continuous glucose monitoring:持続血糖モニター)機能を持ち合わせ、低血糖や高血糖を知らせるアラート機能や低血糖に際し一時的にインスリン注入を止める機能があるポンプ(SAP) が使用でき、妊婦さんにも広がっています。

主治医の先生に相談し選択することができます。


妊娠中の体重増加の基準

妊娠中の体重は、増えすぎても巨大児出産の割合が増加し、増えなさすぎても早産など起こりやすくなり、これらの発症確率を最小にすることを目標に、日本産婦人科学会が推奨する目安を提示しています。

妊娠前の体重が基本となり、それを元に増加指導の目安を示しています。

妊娠前体格 BMI(体格指数)* 体重増加指導の目安
低体重 18.5未満 12~15kg
普通体重 18.5以上25未満 10~13kg
肥満(1度) 25以上30未満 7~10kg
肥満 (2度) 30以上 個別対応 上限5kgまで

*BMI(体格指数)は、体重(kg) ÷ 身長(m)÷ 身長(m)で計算します。


ちょっと突っ込んだ専門的なお話はいかかでしたでしょう?
難しかったでしょうか?

いろいろな質問があるかと思います。
何かご質問がありましたら、いつでもお待ちしております。




【参考文献】
1.妊婦の糖代謝異常 診療・管理マニュアル 第3版. 日本糖尿病・妊娠学会 編. メジカルビュー社, 2022
2. 日本周産期・新生児医学会雑誌 2022; 58(1): 9-17
3. 臨床婦人科産科 2018; 72(10): 988-994
4. チャイルド ヘルス 2021; 24(4): 278-281 5. 産科と婦人科 2020; 87(5): 573-576


                       イラスト 鴨沢要佑(長﨑病院)
                       文    千葉泰子(長﨑病院)





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