第2回がん三次元培養研究会 報告記

「がん三次元培養の臨床応用へのロードマップ」


会期:2018年11月27日(火)13:10 ~ 18:30

会場:国立がん研究センター 新研究棟 1階 大会議室

主催:がん三次元培養研究会


第2回のがん三次元培養研究会年会が、予定通り2018年11月27日(火)に行われましたので、御報告させていただきます。
 文責:代表幹事 岡本 康司

1. 学会概略

第2回研究会は、国立がん研究センター新研究棟にて、「がん三次元培養の臨床応用へのロードマップ」をテーマに行われました。三次元培養研究者の発表を中心としたメインプログラムは、午後1時過ぎより6時半まで大会議場で行われました。一方、ポスターセッション及び企業展示は、隣接するセミナールームにおいて行われました。


2. 学会発表

当研究会の顧問である間野博行研究所長による開会のご挨拶の後、国内外の10名のアカデミアの先生方による、それぞれの最新の研究知見に関する発表が行われました。三次元培養法については、がん臨床検体のオルガノイド培養、スフェロイド培養、CTOS法などの培養法による研究成果の他、Patient-Derived Xenograftを介した研究法についても紹介がなされました。また、これらの培養系を基盤として、様々な共培養系やイメージング法等の新たな展開によるユニークな知見が紹介されました。これらの発表内容に関して、基礎研究及び臨床研究の側面から活発な質疑応答が行われました。発表中には、中釜斉がん研究センター理事長より、全体の総括及び今後の展望について特別発言を頂きました。


3. ポスター

アカデミアの研究者による15のポスターセッションが行われました。学会発表の間に、質疑応答の時間を設けましたが大変な盛況でした。


4. 企業展示

7社(株式会社SCREENホールディングス、株式会社ブラスト、株式会社ベリタス、島津製作所株式会社、セレック・バイオテック株式会社、日本バイリーン株式会社、バイオテック・ジャパン合同会社)による企業展示が、ポスター会場と同じセミナールームで行われました。各社による製品紹介が行われました。

5. 学会総括

第2回研究会では、第1回を大幅に上回る200名近い研究者にご来訪頂き、盛況のうちに無事終了いたしました。又、研究会後の情報交換会にも約40名の方にご参加頂き、有益な意見交換ができたと考えております。本研究会は、基礎研究と臨床研究のアカデミアの研究者、及び企業の方々が集い、様々な革新的な三次元培養法をさらに深化、拡張させるとともに、様々ながん腫に応用する事で、がん研究の新たな研究基盤を確立する事を目指しております。今後も皆様のご意見を頂戴しながら、自由闊達な意見交換の出来る場として活用できる研究会として、継続進展させていきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。


6.発表演題一覧

 井上 正宏 先生(京都大学大学院 医学研究科)
   「Ex vivo がん細胞培養法(CTOS 法)の開発と応用 」

 大畑 広和 先生(国立がん研究センター研究所)
   「大腸がん三次元培養法を用いたがん幹細胞増殖シグナル経路の解明」

 山田 泰広 先生(東京大学 医科学研究所)
   「iPS 細胞技術によるがん細胞の理解と制御」

 村山 貴彦 先生(金沢大学 がん進展制御研究所)
   「スフェロイド培養を用いたがん幹細胞維持機構の解析」

 井上 聡 先生(東京都健康長寿医療センター研究所)
   「泌尿器科がん・婦人科がんの三次元培養」

 山脇 芳 先生(国立がん研究センター研究所・新潟大学)
   「スフェロイド細胞培養系を用いた卵巣がん幹細胞の本態解明と個別化医療応用への試み」

 関根 圭輔 先生(横浜市立大学大学院 医学系研究科)
   「ヒト組織三次元的再構成技術を用いたヒト膵癌組織の人為的創出」

 池内 真志 先生(東京大学 先端技術研究センター)
   「マイクロデバイス技術がもたらす三次元培養の新展開」

 今村 健志 先生(愛媛大学大学院 医学研究科)
   「がん三次元培養のための革新的イメージング技術開発と応用」

 Sarki A. Abdulkadir 先生(Northwestern University, USA)
   "Modeling prostate adenocarcinoma by inducing defined genetic alterations in organoids"