大会長挨拶
第8回 成人発達障害支援学会 滋賀大会
―発達障害の多面性とその多角的支援―
昨年4月7日に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令されました
保健・医療・福祉の現場は、まさに密閉、密集、密接の場面が多くハイリスク環境と言えます。実際、関連職種の感染者も報告されており、電話等情報通信装置を用いた遠隔サービスの提供が急がれています。皆様におかれましては、日々その対策にご苦労されていることと存じます。
さて、成人発達障害支援学会は、昭和大学発達医療研究所所長 加藤進昌先生を中心に平成25年11月に設立された成人発達障害支援研究会を前身としています。平成30年10月に札幌で開催された第6回大会において学会となり、成人発達障害者に対する、より良い支援方法の構築と拡充を目的とすると共に、成人発達障害支援に関わる医療従事者と支援者を中心としたネットワークの構築を目的としたものです。今大会は、「発達障害者の多面性とその多角的支援」というテーマを掲げました。発達障害者は対人関係の障害、コミュニケーションの障害、興味や行動のこだわりを中核症状としますが、成人期ともなると多くの精神症状を併存することが知られてきました。それらを多面性と表現したものです。
今大会では、薬物などの依存症及び睡眠障害を中心に講演・シンポジウムを構成しました。多角的支援は、医療・福祉・保健・教育等の連携した支援を示しています。今大会では特に就労や学生、ご家族の支援について共に考える機会を設けます。滋賀県では、平成28年10月に加藤進昌先生を講師にお招きして、発達障害者支援シンポジウムを開催したことがあり、医療・福祉・保健・教育の関係者が会して「生きづらさ」に寄り添う支援について話し合うことがあり、それが起源となっています。5年後の今大会において一層連携を強化することを目指したいと企画したものです。また、現地開催のみとなりますが、オープンダイアローグ、就労支援、厚労科研ピアサポート報告、発達障害専門プログラム研修会も準備しております。
多くの方々にご参加いただきまして、活発な議論と交流の場を提供できることを目指しております。皆様のご健康を祈念するとともに、ご支援とご参加を心からお待ちしております。
滋賀県立精神医療センター 病院長
大井 健