よくある質問

Ph.D.-M.D.コースの目的は?

医学部では、臨床医になるための膨大な知識および技術の習得が要求されます。また、卒業後も2年間の臨床研修が待っています。このような臨床医としての技術の習得とともに、東大医学部の卒業生には医学研究のフロントランナーとしての役割が期待されています。今日、生命科学研究には多くのバックグランドの研究者が集まって大変活気ある状況を呈しています。また、研究の展開速度は加速度的に増大しており、他学部の出身者と伍して行くには、早期に研究を開始することが必要になってきています*。Ph.D.-M.D.コースは、この2つの要請を満たす方法です。

(* 臨床研修を終えた時点で医学部出身者は26歳以上になります。一方、他学部出身者はこの年齢までにはすでに5年間の研究実績があり、1年後には博士号を取得して助手・ポスドクなどとして研究を発展させることができる年齢です。)

Ph.D.-M.D.コースでは、M.D.を取得するのが遅くなって不利では?

確かにこれはM.D.をめざす人には気になる点です。しかし、学士入学制度が多くの医学部で行われていることに見るように、臨床医学を学ぶのに適した年齢には幅があります。一方、Ph.D.-M.D.コースには一時的な遅れをカバーするだけの大きなメリットがあります。博士課程で早期に研究を積むことにより、第一線の研究に直接参加することができます。また実験の計画・解析・学会での発表、論文の作成などを通して、論理的な思考法を深く身に付けることができます。そのような経験の上に立って臨床医学を学ぶことは、基礎医学の講義の直後に臨床に進むのに比べて、その理解の深さが全く異なるはずです。実際、米国ではPh.D.-M.D.コースはいわゆるエリートコースとして位置づけられています。また、臨床系の教室でもPh.D.-M.D.コースの出身者が、将来それぞれの臨床研究の中核として活躍してくれることを期待しているのです。

Ph.D.取得後、かならずM.D.コースに戻る必要があるのですか?

これは本人次第です。Ph.D.取得後そのまま医学研究を継続したいと考えるのならM.D.コースに戻らずそのまま研究を続けることができます。実際にこれまでのPh.D.-M.D.コース履修生の中にも、M.D.コースに戻らずに研究者となり、現在一線の研究者として活躍している先輩がいます。また、M.D.コースに戻って、将来は臨床医学の研究を行うという道も重要な選択肢です。また、将来は基礎医学をやりたいが、臨床医学も学んでおきたいからM.D.コースに一旦戻るという人もいるはずです。

博士課程の途中で医学部に戻ることはできるのですか?

いったん博士課程に進学したら、研究を完成させてPh.D.を取得することを強く勧めます。しかし、何らかの理由で先にM.D.を取得したいというように気持ちが変わった場合はもちろん医学部に復学できます。

入学試験は難しいのでしょうか?

筆記試験(英語・専門科目)と面接がありますが、基本的な事項に関するものです。博士課程では指導教官が密接に研究の指導を行うことになりますので、指導教官の評価が重要視されます。フリークォーターやMD研究者育成プログラムなどを通して希望する研究分野の教室にアプローチしてください。どの研究室も、喜んで相談にのってくれるでしょう。

MD研究者育成プログラムとの違いは?

MD研究者育成プログラムはより多くの学生が医学部在学中に研究体験をして、研究マインドを養成することを主な目的としています。医学部卒業までに、修士課程の学生の研究と同程度の研究を行うことを目指していますが、成果を求める事よりも、幅広い体験をすることに主眼を置いています。一方でPh.D.-M.D.コースの場合は、参加する学生の数は多くなくても、その学生が早期に研究に4年間没頭して、プロの研究者としてその後もやっていけるだけの能力を身に着けることを期待しています。もちろん最初MD研究者育成プログラムに参加した学生が、Ph.D.-M.D.コースに進学して自分の実力を試してみることも可能ですし、二つのコースに参加する学生同士の交流も奨励しています。