γ-カルボキシグルタミン酸(Gla)残基
【γ-カルボキシグルタミン酸(Gla)残基とは】
Glu残基とGla残基
グルタミン酸(Glu)残基から水素が引き抜かれ、CO2が付加された構造です。ビタミンKサイクルにリンクしたγ-カルボキラーゼの作用で産生されるため、Gla構造を持つ蛋白質はビタミンK依存性蛋白質と呼ばれます。凝固因子の中では凝固第II因子(プロトロンビン)凝固第VII因子凝固第IX因子および凝固第X因子が含まれ、凝固制御因子ではプロテインCプロテインSおよびプロテインZが、骨代謝関連ではオステオカルシンが含まれます。
Gla残基は蛋白質が立体構造を保持する上で重要です。また活性化血小板膜表面などに出現しているホスファチジルセリンなどの陰性荷電を帯びたリン脂質にカルシウムイオン依存的に結合する上で重要な役割を果たしています。凝固因子の多くは酵素活性発現にリン脂質との結合が重要であるため、Gla殘基を有しないビタミンK依存性蛋白質(PIVKAと呼ばれてます)は凝固活性をほとんど有しません。
クエン酸カルシウムやフッ化カルシウムとして検体中の脱カルシウムを惹起するクエン酸ナトリウムおよびフッ化ナトリウム、並びにカルシウムをキレートすることで検体中の脱カルシウムを惹起するEDTAが抗凝固作用を発揮するのは、このGla残基とカルシウムイオンの作用を阻害するためです。