Marfan syndrome center

 

マルファン症候群センター
  
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 マルファン症候群が疑われる患者さんの診断と治療、遺伝相談などを行う専門外来で、2005年4月にマルファン外来を開設し活動を続けています。遺伝的要因が関与する本疾患の特性を鑑みて、患者さんに安心してご来院していただけるよう、患者さんの個人情報の保護には厳重な注意を払って参ります。
 2021年6月からマルファン症候群センター(Marfan Syndrome Center)として診療・教育・研究にさらに尽力して参ります。

マルファン症候群とは


 マルファン症候群では、細胞と細胞を繋ぐ結合組織が脆弱であるため、その働きの変化が原因となり、心臓や大動脈、骨格、目、脊柱硬膜、肺、皮膚などで機能と構造の破綻が起こり、症状・徴候が出現します。多くの患者さんは、高身長や長い手足、高度の近視、背骨や胸郭の異常(側弯や漏斗胸など)、柔らかい皮膚や関節、扁平足などに伴う慢性的な悩みや症状を持っています。しかしながら、突然の胸背部痛(大動脈解離)や呼吸困難(自然気胸)、目の痛み・視力障害(網膜剥離や水晶体偏位)、膝や肩の脱臼のような救急処置を要する事態に陥る可能性もあります。また、本人が気づかないうちに、大動脈の拡大が進行し、破裂(解離)の危険性に晒されている場合も少なくありません。

 75%は親から遺伝し(常染色体優性遺伝)、25%は孤発例(新規変異)です。日本には約20,000人(出生5千〜1万人あたりに1人)の患者がいると考えられ、性差や人種差はありません。原因遺伝子としてフィブリリン(FBN1)やトランスフォーミング増殖因子β受容体-1,2型(TGFBR1,2)などが同定されていますが、未知の遺伝子や環境要因が複雑に関連していると考えられ、診断に苦慮する場合も少なくありません。

「治る」病気ではありませんが、適切な治療や管理で良好な予後が期待できます。


❐ 医療検索サイト「メディカルノート」に公開中の取材記事(2017.10.13)もご覧ください。

(1)マルファン症候群とはどんな病気か?

(2)マルファン症候群の診断と治療 - 遺伝子検査の必要性とは?

マルファン症候群の原因遺伝子FBN1の変異型が大動脈瘤・解離症の進展に及ぼす影響に関する論文が、Circulation: Genomic and Precision Medicine誌に掲載(2018.5.30)されました。

(内 容)
・マルファン症候群の原因遺伝子FBN1の遺伝子型(種類)によって、主要な大血管障害(Stanford A型急性大動脈解離、大動脈基部置換術および関連死)の発症時期に違いがあることがわかりました。
・FBN1の遺伝子変異は、早発型(HI群とDN-CD群)と遅発型(DN-nonCD群)に分類できます。
・ゲノム情報などの個々人の違いを考慮して予防や治療を行う医療(プレシジョン医療)の推進に向けた成果であるともに、マルファン症候群の治療法開発や病態生理の解明にも繋がる可能性があります。


マルファン症候群センター(マルファン外来)開設の目的


 マルファン症候群に関する正しい情報を知り、適切なライフスタイルと治療を享受することが大切です。しかしながら、遺伝的素因が絡む稀な疾患であり、症状や検査項目も多系統に渡るため、類縁疾患(ロイス・ディーツ症候群、血管型エーラスダンロス症候群、先天性拘縮性クモ指症などの結合織病、家族性大動脈瘤・解離など)を含めた鑑別・診断・治療には、複数の専門診療科が連携して診療にあたる必要があります。例えば、大動脈拡大(解離の危険性)のある患者さんの骨障害に対する手術(重度の側弯や漏斗胸など)や妊娠・出産の管理には、入院前および入院早期から複数の診療科の専門医師が密に連携してそのリスクを回避しようとすることも大切です。

 東大病院では、2005年4月にマルファン外来を開設し、院内の関連する診療科(循環器内科、心臓外科、小児科、整形外科、眼科、産科、ゲノム診療部 など)が緊密に連携し、さらに院外の医療機関との積極的な連携も図りながら、マルファン症候群や類縁疾患の早期診断と治療(入院・外来)を行っています。また、「自分はマルファン症候群ではないか」「兄弟姉妹や子供はどうか」という不安に対し、ゲノム診療部とも連携してご相談に応じます。2021年6月からマルファン症候群センター(Marfan Syndrome Center)と組織名を変更しましたが、引き続きこの分野の診療・教育・研究に努めて参ります。

 遺伝子解析(保険診療)は、施行して特定できない場合でもマルファン症候群を否定し得るものにはなりませんが、今後の診療に役立てる研究の一環として、特定の遺伝子情報の集積にも努めております。ただし、診断が目的であれば必ずしも全例で必要な検査ではありませんので、その必要性と社会的・倫理的な諸問題を十分にご説明させていただいた上で、個別に実施の有無を判断させていただきます。