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第127回 日本小児精神神経学会

大会長挨拶


テーマ:社会的危機における子どものメンタルヘルス〜東日本大震災からコロナ禍まで〜

2020年以来,私たちの生活はCovid-19パンデミックによって激変しました.今や日常の風景になった人々のマスク,街の至るところで体温を測定するデバイス,アルコール消毒液のボトル,ベンチというベンチに設置された着席禁止の表示,コンビニエンスストアでレジを待つ位置を示す床面のテープ・・・感染対策として出現した大量の物理的境界線に囲まれた暮らしが当たり前の世界になりました.

人と人が対面する事そのものが生命のリスクになりうるという未曾有の事態においては、あらゆる学校・事業所・医療機関などがクラスターを作らないことに高い優先順位を置いた結果、人と人のつながりを少なくさせるために様々な活動を犠牲にせざるを得ない状況がありました。さらには、公的な空間を“密”にしない為にテレワークが進み、場合によっては仕事そのものが減り、子どもたちの外での活動が制限された結果、今度は家庭の中は逆に過密になるという現象も起きました。

これだけの社会的危機がごく短期間に起こったわけですから、子どもたち、特にコロナ禍以前から様々な負荷を受け、ようやっと毎日を送っていた子どもたちのメンタルヘルスが危機に晒されるのは想像に難くありません。そのような中、2020年1年間における小学生・中学生・高校生の自殺者数が過去最高を記録してしまったことに我々はどう向き合えば良いのでしょうか。

そこで今回、大会のテーマを『社会的危機における子どものメンタルヘルス~東日本大震災からコロナ禍まで~』といたしました。東日本大震災から長きに渡り様々な葛藤を伴う時期を経験してきた福島県でこの大会をお引き受けすることで、社会全体が揺れ動く中の子どもたちのメンタルヘルスをどのように守るのか、その議論に少しでも新しい視点を提供できればと考えています。

歴史ある福島県は白河の地で、子どものメンタルヘルスに関わるあらゆる職種のみなさまの多くのご参加を心よりお待ちしています。


第127回 日本小児精神神経学会
大会長 井上 祐紀 福島県立矢吹病院

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