会長挨拶

COVID-19パンデミックは、未だ予断を許さない状況にあります。その中で挑戦し続け、果敢に対応してくださっている医療現場や教育現場のみなさま、そして地域を、人々を支えてくださっている皆様に敬意を表するとともに、深く感謝申し上げます。

今回のパンデミックは、日本の保健医療システムの課題を浮き彫りにするとともに、看護職が社会にとって重要な「公共財」であり、私たちの活動が大きく市民の生活や国の経済活動をも左右することを示しました。私たちは、将来、なんらかのパンデミックや大きな災害が起こっても、看護の優れた技術を用いて、市民の命や生活の犠牲を最小限にできるよう、技術開発を続け、自律性をもって、準備を進めていかなくてはいけないと考えます。

第42回学術集会のテーマは、現在、日本学術会議看護分科会で進める「ケアサイエンスの構築:看護科学の深化と発展」です。

これまで日本の看護界が築き上げてきたhands-onケアの重要性を踏まえながら、人工知能やデジタル技術など新たな分野を取り入れ、どのように看護科学を、看護教育を発展させていけるか、新たな看護サービス提供体制を構築できるのかを、若手、ベテランを交えてディスカッションできる場としたいと考えています。

また、コロナ禍の創意工夫で生み出された新しい教育技術、そして、グローバル化が進む中、日本の看護教育が国際的な基準に耐えうる体制を整えていくためには何が必要なのかも、各国の看護政策・教育担当者とも話し合っていきたいと思います。

さらに、看護の基礎科学をどのように社会実装、トランスレーションしていくのか。そして、海外との国際共同研究がどこまで進み、新たな知が生み出されているかもご紹介したいと思います。若手の研究や社会実践をしっかりと発掘、取り上げていきたいと考えています。

コロナが終息することを願って、新しい形でのカンファレンスを作り上げたいと考えています。国内で、家庭や学内行事のために現地参加が難しい方も、海外におられる卒業生や留学生にも参加いただけるように現地とオンライン、オンデマンドを組み合わせたハイブリッド方式で開催する計画です。

多くの皆様に研究成果を発表していただき、有意義なディスカッションができるよう、お待ち申し上げております。


第42回日本看護科学学会学術集会
会長 森山 美知子

広島大学大学院医系科学研究科 成人看護開発学