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CADASILの症状

CADASILの発症時期や症状は、生活習慣やその他の遺伝要因により大きく左右されますが、 定型的な症例では前兆を伴う片頭痛は30歳前後から生じ、脳梗塞と気分障害・うつ症状は40歳から60歳、認知症は50歳から60歳で発症する とされていますが、発症年齢には個人差がかなりあります。罹患率に男女差はないといわれていますが、歩行困難や寝たきりになる年齢は、 男性のほうが女性よりも若干若い傾向にあります。

脳梗塞の後遺症がある場合は、体操やリハビリテーションなどで運動機能を保つことが重要です。 転倒や骨折を防ぐこと、 嚥下障害による誤嚥性肺炎を防ぐことなども重要です。 また、急に動きにくい、しゃべりにくいなどの症状が生じた場合には脳梗塞の 可能性がありますので病院への受診が必要です。

片頭痛

CADASILの初期症状として最も多い片頭痛ですが、発症年齢は様々で、6歳に発症する方も中年期になってから発症する方もいます。 片頭痛とは頭の片側もしくは両側でズキンズキンと波打つような頭痛が4〜72時間ほど続く頭痛です。 痛みのピーク時にはあまりの痛みで仕事や家事ができないことも多く、嘔吐や吐き気を伴うこともあります。 CADASILでは、片頭痛のなかでも前兆を伴う片頭痛が多くみられます。前兆にはいくつか種類がありますが、多い順から、

などが挙げられ、このような症状が出現したのちに片頭痛発作が起きます。


気分障害・うつ

CADASIL患者さんの約20〜40%に気分障害やうつが現れます。気分が落ち込む、眠れない、食欲がなく食べない、 感情が鈍くなっている、何に対しても興味を示さないなどの症状が現れる事があります。

脳梗塞

壮年期から中年期以降にかけて脳梗塞を発症することがあります。 脳梗塞は、脳の血管が細くなったり、 血管が詰まったりして、脳に酸素や栄養が送られなくなるために、 脳の細胞が障害を受ける病気です。 脳梗塞は詰まる血管の太さやその詰まり方によってさまざまなタイプがありますが、CADASILで最も多いのが、 ラクナ梗塞と呼ばれるタイプのものです。脳の細い動脈が詰まり、脳の深い部分に小さな梗塞ができます。 このような小さな梗塞は症状が全くでないことも多いのですが、何度も小さな梗塞が起こることで、 歩きにくい、 しゃべりにくい、手が動かしにくいなどの症状が出ます。 脳梗塞の発症年令、重症度、症状の進行速度にはかなり個人差があります。 数年間、脳梗塞再発を防げると症状が悪化しない場合もあります。

認知症

脳梗塞の再発により、考えるスピードが落ちる、注意力が落ちる、ものが覚えられないなどの認知症による症状 (とくに血管性認知症、皮質下性認知症)が現れることがあります。 CADASILの認知症の多くは、遂行機能障害(executive dysfunction) から始まり、記憶力自体は維持されていることが多いのが特徴です。 この遂行機能とは、「目的をもった一連の行動を自立して有効に 成し遂げるために必要な機能」と定義され、

から成ります。アルツハイマー病などで見られるエピソード記憶の障害(例:ご飯を食べたことを覚えていない)とは異なり、 遂行機能に障害がおこると、1つの物事に集中して作業を順序立てて効率よく行うことができなくなります(例:夕食の支度の段取りが悪くなる)。 病気が進行すると、そのほかの脳機能にも障害が広がり、記憶障害も起こってきます。

参考文献