弱者の命を奪ってきた「法令遵守」
2類相当が招いた医療崩壊と自殺者の増加
「勝手に5類」の実証実験成功

濃厚接触者でも「陰性」で勤務 市立静岡病院、2021年春から先行実践 ワクチン効果など総合判断  静岡新聞 2022.1.14 社会部 河村英之
 静岡市立静岡病院(同市葵区)が、院内の医療従事者が新型コロナウイルスの濃厚接触者になっても、陰性であることを確認した上で勤務する体制を昨春から独自に取り入れていたことが、13日までの同病院への取材で分かった。オミクロン株対策で政府が自治体に通知した内容を先行して実践していた格好だ。病院幹部は「感染爆発が予想される『第6波』はさらに柔軟な対応が必要になる。社会活動の影響を考えれば、対象を医療以外にも広げるよう検討すべきでは」と提言する。
 同病院によると、濃厚接触者の条件付き勤務を採用したのは、ワクチンの医療従事者向け2回接種が終了した昨年4月ごろ。ワクチン効果で感染抑制や重症化予防が期待できる▽濃厚接触者を国の規定通り欠勤させれば、数が増えたとき業務が滞る−などを踏まえ、総合的に判断したという。
 実際に濃厚接触者が出勤したケースはいずれも昨年中で、看護師など3人。毎日検査で陰性であることを確認し、感染対策に十分に留意して通常業務に当たった。3人とも陽性にはならなかった。
 濃厚接触者を巡っては、国が自宅などで14日間の待機を求めている。オミクロン株で感染が急拡大する沖縄県では濃厚接触者に認定された医師、看護師の欠勤が相次ぎ、医療提供に支障が出ている。
 政府は沖縄県と同様の事態が全国に及ぶのを避けようと12日、医療従事者が濃厚接触者となった場合、毎日の検査で陰性が確認されれば勤務できると自治体に通知した。昨年8月も同様の通知を出したが、オミクロン株の対応も取り扱いは変わらない趣旨を改めて示した。濃厚接触者に関する国の規定は要請のため、静岡病院のように早期に独自判断することは可能だった。
  県内ではオミクロン株感染者が急増する一方、重症者は少なく、静岡病院の入院患者も13日時点でゼロという。同病院感染管理室長の岩井一也医師(56)は「軽症傾向がみられるオミクロン株は、もはやこれまでの新型コロナとは別の病気。従来の対策を引きずるべきでない」と指摘。濃厚接触者が陽性になる割合は全体の1割未満というデータも引用し、「濃厚接触者の考え方自体を抜本的に見直す時期ではないか」と話した。

医療サービスにおけるコンプライアンスと訴訟リスク
   この記事が医療職対象の大手サイトm3(エムスリー)で紹介されたところ、医師限定掲示板の中で「(もし病院で感染爆発が起こって)訴訟になったらどうする?」と懸念する書き込みがありましたが心配御無用。理由は簡単です。まともなことをやっている病院が負けるわけがないからです。それが新聞記事になって評価され、掲示板の中でも市立静岡病院に対する賞賛の声が満ちあふれているからです。新聞社も地域社会も、さらに全国版医療サイトの掲示板でも評価されている市立静岡病院を訴えるような真似は誰もできません。仮にもし言い掛かりを付けてくるような奴がいれば、私に連絡してください。馬鹿な真似はやめるように原告に説明して訴えを取り下げさせますので(キャリアパスとしての医療法務)。

2類相当の法令遵守が医療崩壊を招いた
    市立静岡病院の柔軟な独自判断は今こそ画期的な取り組みとして評価されて当然ですが、今でさえ訴訟の懸念が取り沙汰されるぐらいですから、ワクチンという追い風はあったにせよ、取り組みに際してはンプライアンス違反との指摘を含めかなりの抵抗があったであろうことは容易に想像できます。それを乗り切れたのは、この取り組みが医療崩壊を防ぎ、地域住民と職員の両方の幸せにつながると関係者が確信し納得したからでしょう。逆にもし国の「要請」を墨守していれば、法令遵守が誰も幸せにしないことを立証することになっていたでしょう(郷原信郎 「法令遵守」が日本を滅ぼす〜「社会的要請への適応」としてのコンプライアンス〜、書籍は→こちら)。

2類相当が奪った弱者の命と三猿を決め込む御用医師達
    そこで再度注目すべきは2021年4月という取り組み開始時期です。この時点で既に医療に対する2類相当遵守が医療崩壊を招いたことは明白でした。そのことを市立静岡病院の取り組みは実証しています。それから10ヶ月が経とうとした今でも「たとえ2回接種が完了してもマスク・手洗い励行」の「要請」は日本全国隅々まで行き渡っています。もちろんそれだけではありません。2類相当=誰も幸せにしない愚かな政策は、今日も不幸な人々の命を奪っています(COVID-19流行下における自殺の動向)。それなのに、御用医師も、官僚も、政治家も、みんなみんな自殺者の増加に対し三猿を決め込んでいます。

予防法務の観点から見た厚労省の愚行
市民の手で5類を取り戻す
COVID-19流行下における自殺の動向
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官僚利権の温故知新
日本がまともなコロナ対策ができないわけ(郷原信郎)
新コロバブルの物語
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