医療費抑制モデル事業

医療費抑制に関する議論は非科学そのものである.何となればプロセスの議論で終始し,アウトカムの議論が全くないからだ.介入研究は実行可能性がゼロだからやむを得ないという言い訳は,これまた非科学そのものである.何となれば下記のような立派な観察研究があるからだ.医療費抑制の是非を論ずる人々はすべからく,この観察研究に基づいて己の主張を展開することをお勧めする.
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医療費、地域差大きく福岡1位、新潟の1.4倍  病床数や入院日数影響16年度、1人あたり  日経2019/6/17

福岡県と新潟県の1人あたり年間医療費の格差は17.5万円――。厚生労働省がまとめた報告書「医療費の地域差分析」で、2016年度の1人あたり医療費を都道府県別にみると、福岡県が64.6万円に上る一方、新潟県は47.1万円にとどまった。どのような要因で医療費の地域間格差が生じるのか。背景を探ってみた。
長野県は市町村と連携してウオーキングなどのイベントを開き、住民の健康づくりを進めている
同省の報告書のうち、国民健康保険と後期高齢者医療制度の加入者を合計して算出した「1人あたり医療費」(年齢調整後)から都道府県別のランキングを作成した。

九州6県が上位
最も高かったのは福岡県の64万6488円で、高知県(64万1114円)が続いた。上位10道県のうち、九州が6県、中国・四国が3県を占めた。西日本で医療費が膨らみがちな傾向が鮮明だ。
一方、最も低いのは新潟県の47万1857円で、福岡県の約7割だった。2番目に低いのが岩手県(48万1479円)で、千葉県(48万6182円)が続いた。
人口構成や住民の健康に関する意識など、医療費の地域差には様々な要因が絡む。中でも、入院に必要な病床数と高齢者の受診率、入院日数の長さは医療費の地域差に大きく影響する。福岡、高知両県をみると、こうした傾向が読み取れる。
両県とも過去5年間、1人あたり医療費の順位がいずれも1、2位で続く。両県とも入院医療費が多く、16年度の入院外(外来)の1人あたり医療費は高知が23位、福岡が6位なのに対し、入院の医療費はそれぞれ1、2位となった。
とりわけ、高知県は人口10万人あたりの病院の病床数(2530床)、後期高齢者100人あたりの入院受診件数(124件)がともに全国で最も多かった。

足りぬ看護人材
2次産業の乏しい高知市は医療が基幹産業化し、「1960年代には人口あたり病床数が全国トップになり、介護施設の役割も担った」(高知県国民健康保険課)。高知市内に医師や看護師が集まる一方、山間地では救急から回復期に移る患者を診たり、在宅看護を支えたりする人材が不足する事態に。こうした状況が、医療費の高い急性期病床での入院日数を長期化させる原因になったとみられる。
福岡県は後期高齢者の1人あたり医療費が02年度以降、全国首位が続く。県は「入院の平均日数が長く、重症化すると医療費が膨らむ脳梗塞など循環器系の入院医療費が2割を超えている」(保健医療介護総務課)と説明する。
同県は人口10万人あたりの病院病床数は1682で、全国平均の1.4倍に上る。医学部付属の大学病院も県内に4つあり、東京都、大阪府に次いで多い。
一方、医療費が低い地域をみると、供給される医療が少ない状況がうかがえる。
新潟や岩手は医療を提供する医師が少ないうえ、民間病院も少なく、公立病院で地域医療を支えてきた。
同省が今年2月に発表した医師偏在指標では、岩手、新潟両県は下位1、2位で「医師少数県」と指摘された。医療費の膨張抑制は重要だが、住民が安心して医療を受けられる環境との両立が欠かせない。
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市民の不幸を願う役人-目的化した医療費削減-
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