大きな溝:その2

いきなりこのページに来た人は、その前に、こちらのページを読むことをお勧めします。

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日本のゲーム産業と大学を隔てる大きな溝【コラム】

経済産業省が昨年、「ゲーム産業戦略 〜ゲーム産業の発展と未来像?」と題する報告書を作成したのは、日本のゲーム産業の将来を考えるうえでかなり画期的な動きと思われた。日本のゲーム産業の今後5年間の方向性と産官学連携についての議論をまとめたものだ。ところがその内容やその後の動きを精査していくと、期待どころか惨たんたる現状に不安を覚えるようになった。

報告書の公開から10カ月近くが経過している。実際の施策が進行するにつれて、一部では現実の厳しい壁も明らかになりつつある。それは「産学連携による人材育成の促進」と「技術課題解決のための産学連携・企業間連携の促進」についてである。

「ゲーム産業戦略」では以下のような方向性を提示している。

 「産学連携による研究開発を促進するためには、大学等の研究機関において行われる研究のうち、ゲームへの応用可能性の高いものを明らかにする必要がある。このため、デジタルコンテンツ協会は、大学等の研究機関において行われているゲーム関連の研究について調査を行い、当該調査結果を産業界に提供するべきである。また、このような調査結果を踏まえ、産業界のニーズと学会のシーズが合致する場合には、デジタルコンテンツ協会は必要に応じ、政府研究開発資金の活用も視野に入れた産学間のコーディネイトを行うべきである」
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おわかりいただけました。経済産業省→厚生労働省、ゲーム産業→新薬開発、デジタルコンテンツ協会→製薬協って言葉を置き換えただけなのです。このページの記事が本物なのですが、言葉を置き換えだけで、前のページの記事もまさに事実の報道になってしまうのです。

この実験から、次の知見が得られます。

○厚労省だろうと、経産省だろうと、”産官学”というお決まりのキーワードに予算をつける金太郎飴アイディアしか持ち合わせていない。
○5年程度の金太郎飴アイディアでは、学術研究をゲーム、あるいは新薬というアウトプットまでに高めることはできない。
ゲーム産業はアジア諸国から追い上げ、治験も、アジアへの流出と治験の空洞化という危機に襲われている。
○ゲーム研究と生命科学研究の共通点の数々

○たとえば、研究者間のネットワークの弱さ
○優れた研究者ほど、英語での論文発表に熱心で、日本語での論文発表や国内学会活動には関心がないこと
○大学と企業の間に大きな隔たりのあること。
国際競争力を持っているゲーム産業でさえ、この体たらく。ましてや役所が音頭を取れば新薬開発が進むなどというのは正に妄想であることがよくわかる。

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